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■南極海の2カ所でもマイクロプラスチックを初検出 九州大、生態系への影響懸念 [健康ダイジェスト]

 海の生態系への影響が懸念されている大きさが5ミリ以下の微細なプラスチックのごみ「マイクロプラスチック」が、人の生活圏から遠く離れた南極海でも、日本の大学の調査で初めて検出されました。調査に当たったチームは、地球規模で汚染が広がっていることを示すものだとして、国際的な取り組みを急ぐ必要があると指摘しています。
 マイクロプラスチックは、ごみとして海に流れた包装容器などが紫外線や波の力で大きさが5ミリ以下まで細かく砕けたもので、分解されずに海を漂い続ける上、PCBなどの有害物質を付着しやすい特徴があり、プランクトンや魚、貝、海亀、鯨、海鳥などが餌と間違うと、有害物質も体内に取り込んでしまうため、生態系や人への影響が懸念されています。
 こうした中、九州大学や東京海洋大学などのチームは、今年1月、東京海洋大学の練習船で南極海の2カ所の海水を採取し、マイクロプラスチックが含まれているかどうか調べました。
 その結果、いずれの場所の海水からもマイクロプラスチックが検出され、その密度は、これまでに調査が行われた世界各地の海の平均の2倍から4倍余りと高い値だったということです。
 人の生活圏から遠く離れた南極海でマイクロプラスチックが検出されたのは、これが初めてです。
 調査を行った九州大学の磯辺篤彦教授は、「汚染が地球全体に広がっていることを示すもので各国が協力して実態の把握を進めるとともに、対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。
 東京農工大学の高田秀重教授のチームは、世界各地の研究者やNGOの協力を得て、50余りの国や地域の海岸からマイクロプラスチックを集め、付着している有害物質の種類や量を分析しました。
 その結果、有害物質のPCBが日本やアメリカ、ヨーロッパで多く検出されたほか、アフリカや東南アジアでも、検出されたということです。また、農薬の成分のHCHが、アフリカやヨーロッパ、オセアニアなどで検出されたということです。
 これまでの高田教授のチームの研究では、マイクロプラスチックに付着した有害物質は、海水に溶け込んでいる有害物質と比べて10万倍から100万倍も濃縮されていることや、マイクロプラスチックを多く体内に取り込んだ海鳥は、体の脂肪に含まれる有害物質の濃度も高くなっていることが、明らかになっています。
 高田教授は、「マイクロプラスチックは軽くて浮きやすいため、国境を越えて遠く離れた場所まで流れていきやすく、有害物質の運び屋になっている。20年後には世界の海を漂流するプラスチックの量が今の10倍に増えるという予測もあり、マイクロプラスチック汚染がさらに進めば、人への影響も懸念される」と指摘しています。

 2016年9月27日(火)

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