■用語 腎性糖尿 [用語(さ行)]
糖尿病ではなく、血液中の高血糖を伴わずに、尿中に多くのブドウ糖が認められる疾患
腎性(じんせい)糖尿とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度が過剰である高血糖を伴わず、血糖値は正常な範囲内にあるにもかかわらず、腎臓からブドウ糖が継続して尿中に漏れる疾患。正常血糖性糖尿とも呼ばれます。
腎臓では、糸球体という部位で、体の老廃物とともに、糖分(ブドウ糖、フルクトース、ガラクトースなど)やミネラル(ナトリウム、カリウムなど)などの血液中の小さな物質はいったん、すべて尿の原液である原尿の中に、ろ過されます。その後、原尿が尿細管という細い管を流れる間に、ブドウ糖やミネラルなど体に必要な物質は再び血液中に再吸収され、血液中に残った老廃物はさらに尿中へ排出されます。その結果、最終的な尿が作られることで、必要な物質は体に保ち、老廃物のみを効率よく体外に排出することができます。
ブドウ糖は体に必要な栄養源ですから、尿細管でナトリウム・グルコース共役輸送体(SGLT)というポンプにより、すぐに血液中へ再吸収されます。しかし、このポンプの力には限度があり、年齢や個人差もあるのですが、通常は血液中のブドウ糖濃度である血糖値が170mg/dlを超えると限界となって再吸収されずに、ブドウ糖が最終的な尿中に排出されます。この尿中に認められるブドウ糖を尿糖と呼びます。
糖尿病でなければ、通常は血糖値が食後でも140mg/dlを超えることはないので、尿糖は出ないことになります。ところが、体質によりポンプの力が弱いと、尿細管におけるブドウ糖再吸入の機能不全が起こるため、血糖値が正常な範囲内にあってもブドウ糖が最終的な尿中に排出されます。これを腎性糖尿と呼んで、糖尿病による尿糖と区別しています。
ポンプの力が弱い体質は、親から子へと遺伝することが確認されています。ポンプの力が普通より弱く、その後どれだけ血糖値を上昇させてもそれ以上にはブドウ糖を再吸収できないA型と、尿糖を示しながらも最大再吸収は普通にできるB型があります。通常、常染色体優性の形質として遺伝しますが、時として劣性遺伝します。
50〜60gのブドウ糖が尿中に排出されますが、多くの場合、生まれ付きで腎臓の機能がやや弱っているだけで、ほかに腎臓に問題がなければ、治療の必要はありません。腎臓以外の部分でも大きな問題が出るケースはほとんどなく、将来の糖尿病のリスクも健康人と変わりありません。
ただし、尿中に排出されるブドウ糖が多い場合、尿の量が増え、脱水によるのどの渇きや倦怠(けんたい)感などの症状がみられることがあります。
なお、まれに尿細管を主に障害する尿細管障害や間質性腎炎などの腎臓病が、尿糖の原因になることもあります。特に、むくみや倦怠感などの症状があるのであれば、その可能性は否定できませんので、腎臓内科で一度相談してみてください。
また、甲状腺(こうじょうせん)機能高進症などのホルモン異常、クッシング症候群、眼脳腎症候群(ロー症候群)、ファンコニ症候群、ウィルソン病、ガラクトース血症など種々の全身性障害に併発することがあり、妊娠中にも女性ホルモンなどの影響でポンプの力が弱まり、血糖値がそんなに高くなくても、尿糖が出ることが知られています。
健康診断の尿検査で尿糖が確認された場合、医療機関で血液検査を受けて血糖値を調べ、糖尿病でないか確認するのが安全です。また、尿から糖が出るのが当たり前なので、糖尿病の発見を見逃す原因ともなる可能性がありますので、年に一度は検査を受けておくと安心です。
生活習慣病対策として2008年4月から導入された特定健康診査(特定健診、メタボ健診)でも、尿糖の測定は必須となっています。
腎性糖尿の検査と診断と治療
内科、内分泌科、腎臓内科、泌尿器科などの医師による診断では、血糖と尿糖の程度を同時に比較することで、糖尿病と腎性糖尿を鑑別します。
また、血糖値140mg/dl未満で高血糖が存在しない場合の24時間採尿における500mg超のブドウ糖(グルコース)所見に基づき、排出された糖がブドウ糖(グルコース)であることを確認し、ペントース尿、フルクトース尿、スクロース尿、マルトース尿、ガラクトース尿、ラクトース尿を除外するために、グルコースオキシダーゼ法という検査を行うことがあります。
内科、内分泌科、腎臓内科、泌尿器科などの医師による治療では、単独の腎性糖尿は良性であり、処置を施すことはありません。当然、運動療法や食事療法の必要はありません。
腎性(じんせい)糖尿とは、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度が過剰である高血糖を伴わず、血糖値は正常な範囲内にあるにもかかわらず、腎臓からブドウ糖が継続して尿中に漏れる疾患。正常血糖性糖尿とも呼ばれます。
腎臓では、糸球体という部位で、体の老廃物とともに、糖分(ブドウ糖、フルクトース、ガラクトースなど)やミネラル(ナトリウム、カリウムなど)などの血液中の小さな物質はいったん、すべて尿の原液である原尿の中に、ろ過されます。その後、原尿が尿細管という細い管を流れる間に、ブドウ糖やミネラルなど体に必要な物質は再び血液中に再吸収され、血液中に残った老廃物はさらに尿中へ排出されます。その結果、最終的な尿が作られることで、必要な物質は体に保ち、老廃物のみを効率よく体外に排出することができます。
ブドウ糖は体に必要な栄養源ですから、尿細管でナトリウム・グルコース共役輸送体(SGLT)というポンプにより、すぐに血液中へ再吸収されます。しかし、このポンプの力には限度があり、年齢や個人差もあるのですが、通常は血液中のブドウ糖濃度である血糖値が170mg/dlを超えると限界となって再吸収されずに、ブドウ糖が最終的な尿中に排出されます。この尿中に認められるブドウ糖を尿糖と呼びます。
糖尿病でなければ、通常は血糖値が食後でも140mg/dlを超えることはないので、尿糖は出ないことになります。ところが、体質によりポンプの力が弱いと、尿細管におけるブドウ糖再吸入の機能不全が起こるため、血糖値が正常な範囲内にあってもブドウ糖が最終的な尿中に排出されます。これを腎性糖尿と呼んで、糖尿病による尿糖と区別しています。
ポンプの力が弱い体質は、親から子へと遺伝することが確認されています。ポンプの力が普通より弱く、その後どれだけ血糖値を上昇させてもそれ以上にはブドウ糖を再吸収できないA型と、尿糖を示しながらも最大再吸収は普通にできるB型があります。通常、常染色体優性の形質として遺伝しますが、時として劣性遺伝します。
50〜60gのブドウ糖が尿中に排出されますが、多くの場合、生まれ付きで腎臓の機能がやや弱っているだけで、ほかに腎臓に問題がなければ、治療の必要はありません。腎臓以外の部分でも大きな問題が出るケースはほとんどなく、将来の糖尿病のリスクも健康人と変わりありません。
ただし、尿中に排出されるブドウ糖が多い場合、尿の量が増え、脱水によるのどの渇きや倦怠(けんたい)感などの症状がみられることがあります。
なお、まれに尿細管を主に障害する尿細管障害や間質性腎炎などの腎臓病が、尿糖の原因になることもあります。特に、むくみや倦怠感などの症状があるのであれば、その可能性は否定できませんので、腎臓内科で一度相談してみてください。
また、甲状腺(こうじょうせん)機能高進症などのホルモン異常、クッシング症候群、眼脳腎症候群(ロー症候群)、ファンコニ症候群、ウィルソン病、ガラクトース血症など種々の全身性障害に併発することがあり、妊娠中にも女性ホルモンなどの影響でポンプの力が弱まり、血糖値がそんなに高くなくても、尿糖が出ることが知られています。
健康診断の尿検査で尿糖が確認された場合、医療機関で血液検査を受けて血糖値を調べ、糖尿病でないか確認するのが安全です。また、尿から糖が出るのが当たり前なので、糖尿病の発見を見逃す原因ともなる可能性がありますので、年に一度は検査を受けておくと安心です。
生活習慣病対策として2008年4月から導入された特定健康診査(特定健診、メタボ健診)でも、尿糖の測定は必須となっています。
腎性糖尿の検査と診断と治療
内科、内分泌科、腎臓内科、泌尿器科などの医師による診断では、血糖と尿糖の程度を同時に比較することで、糖尿病と腎性糖尿を鑑別します。
また、血糖値140mg/dl未満で高血糖が存在しない場合の24時間採尿における500mg超のブドウ糖(グルコース)所見に基づき、排出された糖がブドウ糖(グルコース)であることを確認し、ペントース尿、フルクトース尿、スクロース尿、マルトース尿、ガラクトース尿、ラクトース尿を除外するために、グルコースオキシダーゼ法という検査を行うことがあります。
内科、内分泌科、腎臓内科、泌尿器科などの医師による治療では、単独の腎性糖尿は良性であり、処置を施すことはありません。当然、運動療法や食事療法の必要はありません。
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