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■用語 カイロミクロン停滞病 [用語(か)]

[レストラン]遺伝子の異常により、体内でカイロミクロンを合成できなくなる疾患
 カイロミクロン停滞病とは、小腸でカイロミクロンを合成することができないために、脂肪吸収不良が生じる遺伝性疾患。アンダーソン病とも呼ばれます。
 SARA2遺伝子の異常による非常にまれな疾患であり、常染色体劣性遺伝形式をとると考えられています。
 小腸粘膜細胞内の細胞小器官である小胞体では、中性脂肪を分解する酵素のリポ蛋白(たんぱく)であるカイロミクロンの分泌は正常に行われるものの、SARA2遺伝子の異常により、カイロミクロンの合成を行う細胞小器官であるゴルジ体へと、カイロミクロンを輸送することができないために、カイロミクロンが合成できず小腸粘膜細胞内で停滞します。
 一方、肝臓における、中性脂肪を分解する酵素のリポ蛋白であるVLDL(超低比重リポ蛋白)の分泌、合成は損なわれません。
 小腸でカイロミクロンが合成できない結果、食事由来の脂肪と脂溶性ビタミンの小腸における吸収が大きく損なわれます。動物性蛋白の摂取不足に伴って、低LDL(低比重リポ蛋白)コレステロール血症を生じることもあります。
 カイロミクロン停滞病の症状はまず乳児期に現れ、発育不全がみられます。便に過度の脂肪が含まれる脂肪便という状態になり、便は脂っぽく、悪臭があり、水に浮かびやすくなります。
 中枢神経系が損傷し、運動失調症と精神遅滞が起きる可能性もあります。
 未治療の多くのケースでは、30歳前後までに中枢神経系の障害により、通常の日常生活に必要な基本的な活動が著しく障害されます。
[レストラン]カイロミクロン停滞病の検査と診断と治療
 内科、内分泌・代謝科の医師による診断では、血液に含まれるコレステロール濃度が低く、食後カイロミクロンの欠損する場合に、腸の粘膜を一部採って特殊な染色を行った上で顕微鏡で調べる腸生検を実施します。
 内科、内分泌・代謝科の医師による治療では、脂肪と脂溶性ビタミン(A、D、E、K)のサプリメントを使用し、補充します。
 カイロミクロン停滞病は遺伝子異常を背景とし、代謝異常が生涯持続するために治癒しませんが、脂肪と脂溶性ビタミンを補充することにより、中枢神経系に対する損傷の発生と進行を遅らせることができます。

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