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■用語 アレルギー性鼻炎 [用語(あ)]

[ダイヤ]抗原と抗体が鼻の粘膜で反応して、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりを起こす疾患
 アレルギー性鼻炎とは、鼻の粘膜でアレルギー反応が起こるもので、発作反復性のくしゃみ、鼻水(鼻汁)、鼻詰まり(鼻閉)の3つを主な症状とする疾患。これらの症状は、体への異物の侵入を阻止し、排除しようとする防御のメカニズムの現れです。
 Ⅰ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)により起こる疾患で、ほかに気管支喘息(ぜんそく)、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などがあります。これらアレルギー性の疾患は、しばしばアレルギー性鼻炎と同時に起こります。
 鼻から吸い込まれた抗原(アレルゲン)が、鼻の粘膜でアレルギー反応を起こして発症することから、空気中を浮遊している抗原が原因となります。代表的な抗原は、ハウスダスト(室内のほこり)や、風の媒介で受粉する風媒花の花粉などです。
 ハウスダストは、1年中存在しているため、季節に関係なく症状を発現させる通年性抗原の一種です。ほかにダニなども、通年性抗原です。
 花粉が抗原の場合は、例えばスギ、ヒノキは春、ブタクサは秋というように開花の時期に一致して症状が出現します。また、花粉は地域の植生や気象状況で飛散量が異なるため、花粉症が猛威を振るう年や地域に違いのみられることがあります。
 外部から異物である抗原が侵入した時に、その抗原に対応する特定の抗体(IgE抗体)が体内に存在すると、抗原と抗体が結合し、抗原抗体反応が起こります。抗原抗体反応が起こると、肥満細胞や好塩基球などの細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離され、その作用でアレルギー反応が起こります。
 これらの化学伝達物質が鼻の粘膜の三叉(さんさ)神経を刺激したり、自律神経のバランスを崩して副交感神経の働きを優位にするために、くしゃみや、鼻水の過剰分泌、鼻のむずむず感などが起こります。鼻の粘膜の血管が拡張するために、鼻詰まりも起こります。
 近年、アレルギー性鼻炎が増加していますが、その誘因には、体質や遺伝的素因としての内因と、環境や栄養などの外因とがあります。
 アレルギー性鼻炎の人の家系調査によると、アレルギーの体質は遺伝するといわれています。また、抗原抗体反応に関係なく、鼻粘膜の過敏性や化学伝達物質の遊離、自律神経のバランスの崩れやすさも遺伝するといわれています。
 鉄筋コンクリートやサッシ窓による気密性の高い住宅の出現、エアコンによる冷暖房の整備などで、室内環境がダニの繁殖に適したものとなり、ダニの数が増えています。また、植林が盛んになりスギ林が多くなるにつれてスギ花粉も増えています。このような抗原の増加も、アレルギー性鼻炎の増加の誘因の1つと考えられています。
 自動車、特にディーゼル車の排気中の物質が、抗体の産生を促す方向に作用するともいわれています。さらに、排気ガスや塵埃(じんあい)などの大気汚染物質のほか、たばこの煙も、アレルギー性鼻炎の増加に関係しているといわれています。
 そのほか、食生活の欧米化による高蛋白(たんぱく)・高栄養の食事が抗体の産生に結び付くともいわれ、ストレスの増加による自律神経のバランスの崩れも誘因と考えられています。
 アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、鼻のかゆみ。鼻詰まりが強く、くしゃみや鼻水を感じない場合や、くしゃみと鼻水が強く、鼻詰まりを感じない場合などがあります。結膜炎を合併することも多く、目のかゆみや充血、流涙がみられることもあります。
 ハウスダストやダニを抗原とするアレルギー性鼻炎では、しばしば気管支喘息やアトピー性皮膚炎を併せ持っています。
[ダイヤ]アレルギー性鼻炎の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、まず、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの3つの症状が1年中起こるのか、あるいは春や秋の季節などに限定して起こるのかを調べます。それをもとに、アレルギー性鼻炎かどうか、もしそうならば原因となる抗原は何かを鼻汁検査、特異的IgE抗体検査、皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストを行って調べます。
 鼻汁検査では、鼻水の中の好酸球という細胞の有無を調べます。抗原抗体反応が起こると、鼻水中の好酸球が増加するので、アレルギー性鼻炎の診断の助けになります。
 特異的IgE抗体検査では、抗原抗体反応を起こす抗体(IgE抗体)が、血液中にどの程度含まれているか、採血して調べます。
 皮膚テストでは、可能性のある抗原のエキスを皮膚に注射するか、皮膚につけた引っかき傷に滴下して反応を調べます。15分後に、皮膚が赤くはれる程度で判定します。
 鼻粘膜誘発テストでは、可能性のある抗原エキスの染み込んだ小さな紙を鼻の粘膜に張り付け、反応を調べます。5分後にくしゃみ、鼻水、鼻詰まりがどの程度出現するかで判定します。
 鼻汁検査、特異的IgE抗体検査または皮膚テスト、鼻粘膜誘発テストの3つのうち2つ以上が陽性の場合に、アレルギー性鼻炎と確定します。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、まず抗原の除去、回避に努めます。ハウスダストやダニが抗原であれば、室内の清掃をこまめに行い、布団や枕(まくら)に防ダニカバーを付け、空気清浄器を使用するのも有効です。花粉が抗原であれば、飛散期の外出をできるだけ控え、マスクや眼鏡で花粉との接触を避け、帰宅したら洗眼、うがいをし鼻をかんで回避することに努めます。
 次に、減感作療法(特異的免疫療法)という体質改善の治療や、抗アレルギー薬で症状を抑える治療を行います。
 減感作療法は、抗原に体を慣れさせ、抗原に接しても症状を起こしにくくする治療です。現在のところ、長期にわたって症状の出現を抑えることが可能な唯一の方法であり、週に1回くらいの割合で抗原希釈液を注射し、徐々に濃度を濃くしていく治療を2~3年続けます。治療終了後にも、症状の改善が持続します。
 最近、長期にわたる通院の負担を軽減するのを目的として、急速減感作療法がいくつかの医療機関で行われています。副作用の出現も危ぶまれるために入院して行う場合もありますが、従来の減感作療法と同じか、それ以上の効果があるといわれています。
 薬物療法では、ヒスタミンなどの化学伝達物質の作用を抑える抗ヒスタミン薬や、化学伝達物質の遊離を抑えるいわゆる抗アレルギー薬、副腎皮質ホルモン薬、自律神経薬などを、症状やそのほかの状況に応じて使用します。
 症状を抑える薬を使用すると、その時は改善しても、再発することが多く、完全に治ることが難しいため、長期間の経過観察も行います。
 花粉を抗原とするアレルギー性鼻炎では、花粉が飛散する前から薬物を予防的に投与し、症状の発現を遅らせて、花粉飛散期の症状を軽くする初期療法を行うこともあります。




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