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■用語 脊髄終糸症候群 [用語(せ)]

[iモード]脊髄の末端から伸びる脊髄終糸が硬いことが原因で、腰痛や頻尿などの症状を来たす疾患
 脊髄終糸(せきずいしゅうし)症候群とは、脊髄の末端から伸びる脊髄終糸という糸状の組織が硬いことが原因で、腰痛や下肢痛、頻尿などの症状を来たす疾患。
 脊髄は、脳と体の各部とを結ぶ太い中枢神経で、脳の延髄から連続して首、背中、腰の部位にあり、頸(けい)髄、胸髄、腰髄、仙髄(尾骨神経を含む)からなります。腰の部位で徐々に細くなり、第1腰椎と第2腰椎の間くらいで終わっています。この脊髄が細くなった末端部分を脊髄円錐(えんすい)と呼びます。さらに、脊髄円錐から脊髄終糸という糸状の組織が伸びており、これが骨盤につながる仙骨まで伸びて、その末端で脊髄を緩やかに固定しています。
 脊髄終糸は、長さ25センチ、太さ1ミリほどで、柔らかく弾力性がある組織です。体を前屈すると、脊髄は頭側に少し移動し、それに伴って脊髄終糸も頭側に引っ張られることになりますが、通常の脊髄終糸は柔らかいゴム糸のように緩やかに伸びるので、脊髄が足側に引っ張られることはありません。
 しかし、脊髄終糸が生まれ付き硬い場合、体を前屈した時に脊髄終糸が伸びないために、脊髄が足側に引っ張られ、この姿勢を続けたり繰り返したりすると、脊髄の中に血流の乏しい部分が生じ、細胞が酸素不足に陥って腰や足に通じる神経や、膀胱(ぼうこう)や腸に通じる神経が興奮し、腰痛や下肢痛、頻尿などの症状が出ることがあります。
 脊髄終糸症候群は、10歳代から30歳代の若い年代に多く、日常生活で前かがみの姿勢をとると、強い痛みが腰から両足にかけて走ります。特に重い物を持ったり、床の物を取り上げたり、疲労が強まると痛みが増します。
 また、ほとんどで頻尿を認め、しばしば便秘、下痢も認めます。
 立位で前屈をした時、指先と床が20センチ以上離れているなど特に体の硬い人は、脊髄終糸も硬い可能性があり、こうした人が若年で腰痛や下肢の痛み、頻尿などの症状が出たら、脊髄終糸症候群を疑ってみる必要があります。
 脊髄終糸症候群は従来、診断方法が確立されていなかったために、しばしば見逃され治療されずに放置されていたのが現状で、単なる腰痛、原因不明の腰痛や下肢痛などとして、治療を受けている可能性があります。症状に思い当たったら、脳神経外科や神経内科、整形外科を受診することが勧められます。
[iモード]脊髄終糸症候群の検査と診断と治療
 脳神経外科、神経内科、整形外科の医師による診断では、脊椎部のCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などを行っても、画像には脊髄終糸が現れないため、若年者で同様の腰痛や下肢痛の症状を起こすことが多い腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアを始め、脊柱管狭窄(きょうさく)症、腰椎椎間孔部狭窄症などがないことを確かめた上で、体が硬く、膀胱直腸障害を伴うなど主に症状から判断します。
 立位と座位で体を前屈すると、どちらも95パーセント以上に痛みがみられます。誘発テストを行うと、最大前屈位で首を下げると腰痛や下肢痛が強くなり、首を上げると痛みが軽減または消失するのが98パーセントで認められます。
 脳神経外科、神経内科、整形外科の医師による治療では、コルセットや鎮痛剤などの保存的治療で改善が得られない場合、症状が強い場合に、希望があれば手術をします。
 手術では、腰のあたりで脊椎骨と脊髄を包んでいる膜を切開し、脊髄終糸を選び出して切断します。手術は1時間程度で終わり、体への負担も小さいので当日から寝返りが可能で、翌日から座位がとれ、3日ほどで歩行を開始し、2週間ほどで退院可能です。
 手術後の回復には個人差がありますが、ほとんどの場合、半年から1年後には症状が改善、ないし完治します。

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