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■用語 早発閉経 [用語(そ)]



[バー]平均的な閉経年齢に至る前の20歳代、30歳代で閉経を迎える状態
 早発閉経とは、20歳代、30歳代といった若い時期に、女性の定期的子宮出血である月経がなくなり、閉経を迎える状態。早期閉経、早発卵巣不全とも呼ばれます。
 閉経は、卵巣年齢が実年齢以上に衰えて卵巣機能が完全に停止している状態を指します。医学的には、1年間以上月経がないと閉経と定義されています。
 個人差はありますが、多くの場合、一般的には45~56歳くらい、平均的には50歳で閉経するといわれ、通常は次第に月経の間隔が長くなり、やがて終了します。
 病名としての早発閉経は、40歳未満の自然閉経と定義されています。日本産科婦人科学会の定義では、閉経が43歳未満までに起こることとされています。
 早発閉経の起こる割合は、20歳代の女性で1000人に1人、30歳代の女性で100人に1人です。早発閉経は、特に妊娠を希望している女性にとっては大きな問題となります。
 早発閉経の症状としては、徐々に月経の回数が減り、やがてなくなります。早発閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌がなくなるので自律神経の働きが乱れ、気分の浮き沈みが激しい、うつっぽくなる、火照りやのぼせが出る、疲れやすい、息切れがする、動悸(どうき)がする、耳鳴りがするなど、更年期障害のような多岐にわたる症状がみられるようになります。
 また、早発閉経が起きると、実年齢は若くても体の中は10歳ほど老いているということになるために、骨粗鬆(こつそしょう)症や脳梗塞(こうそく)、脳動脈瘤(りゅう)などを発症する可能性が高くなるともいわれています。
 早発閉経の原因が特定できるのは、10パーセントほどで、残りの90パーセントは、原因不明といわれています。
 原因が特定できるのは、染色体異常などの遺伝性疾患、甲状腺(せん)機能低下症などの自己免疫性疾患、卵巣の手術や化学療法、放射線療法の影響があります。
 早発閉経の最も典型的な症例としては、初めての月経である初潮を迎えた当初から月経(生理)周期が不順で、高校生を終えるころには、年間を通じて1~3回程度しか月経がなく、20歳代前半もしくは中盤くらいからは、全く月経がなくなるといったようなケースです。このケースは、家族内に同じような傾向の女性がいる場合が多いため、遺伝的な側面が関与している可能性はあるとされています。
 甲状腺機能低下症、甲状腺炎などの自己免疫性疾患により、抗卵巣自己抗体と呼ばれる異常な抗体が体内に産生され、卵巣を含む体内の組織を攻撃するために、早発閉経が起きることもあります。
 過去に卵巣の手術をしている女性、片方の卵巣を摘出している女性は、早発閉経が起きやすくなります。例えば、卵巣に液体成分の入った袋のようなものができ、卵巣の一部にはれが生じる卵巣嚢腫(のうしゅ)の摘出手術を受けている女性の場合、早発閉経となる確率が有意に高くなっているとされています。また、卵巣の手術を受けていない場合でも、抗がん剤治療や放射線治療などの経歴があると、早発閉経が起きやすくなります。
 生活習慣という面では、喫煙やダイエットによる過剰な栄養バランスの崩れ、過剰なストレス、野菜しか食べない菜食主義が、原因になることがあります。
 今まであった月経が3カ月以上停止した状態を無月経といいますが、卵巣機能が休止しているだけで、これから回復することがあるという状態です。無月経には原因がいくつかあり、その原因を取り除くことで月経を起こすことができます。
 一方、早発閉経は、卵巣機能が完全に停止していて排卵していない状態なので、妊娠することはできません。ただ、一言で早発閉経といっても、卵子を包む卵胞がなくなった状態と、卵胞が存在する状態の2種類があります。卵胞がなくなると妊娠の可能性はほとんどなくなってしまいますが、卵巣内に卵胞が存在する場合は、体外受精での妊娠に成功する可能性もあります。
 早めの発見と治療が大切なので、月経が3カ月以上ない時は婦人科、産婦人科を受診することが勧められます。
[バー]早発閉経の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科の医師による診断では、まず下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピン、すなわち黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の値を調べる検査を行います。
 この黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンは、卵巣の機能が低下している際に、それ下支えするために放出されるホルモンです。これらが分泌されることで、低下した卵巣を活発にして卵子の排出を促しているわけです。
 この検査で陽性となった場合には、腹腔(ふくくう)鏡を用いた検査を行い、卵巣に委縮が始まっているかどうかを確認します。この際に、卵巣組織を一部切除して生体検査を行い、原始卵胞という卵子の元になる細胞があるかどうかを確認します。
 婦人科、産婦人科の医師による治療では、検査により早発閉経と判明した場合、一般的にホルモン補充療法を行います。ホルモン補充療法では、閉経により減少する女性ホルモンの一つであるエストロゲンを補充します。エストロゲンだけを補充すると副作用を伴うこともあるため、別のプロゲステロンといったホルモンを状態に合わせて併用していくのが一般的で、併せてゴナドトロピン製剤(HMG製剤)を大量に投与します。
 ホルモンバランスを正常化させることで、更年期障害のようなのぼせ、息切れ、動悸などの症状の改善が期待できます。また、早発閉経によりリスクの上がる骨粗鬆症の発症を予防する効果もあります。
 これとは別に、抗卵巣自己抗体と呼ばれる抗体が陽性反応を示す場合には、副腎(ふくじん) 皮質ホルモン(ステロイド剤)を用いた治療を行います。
 早発閉経と診断された女性が妊娠を希望する場合、ホルモン補充療法の不妊治療を行って排卵を促すか、卵子があるうちに採卵して体外受精することで妊娠の可能性を探ります。
 また、卵胞がなくなってしまうと妊娠の可能性はほとんどなくなってしまいますが、卵巣内の卵胞に原始卵胞という卵子の元となる細胞が存在する場合は、卵巣を摘出して残っていた原始卵胞のいくつかを目覚めさせて排卵を促すことができ、体外受精での妊娠、出産に成功する可能性もあります。


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