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■用語 アルドステロン症 [用語(あ)]

[喫茶店]副腎皮質から分泌されるアルドステロンの過剰分泌によって起こる疾患
 アルドステロン症とは、副腎(ふくじん)皮質ホルモンの一つのアルドステロン(鉱質コルチコイド)の過剰分泌により、ナトリウムの蓄積、カリウムの喪失を来す疾患。
 本来のアルドステロンの分泌組織である副腎(ふくじん)皮質の異常によって起こる原発性アルドステロン症と、ほかの臓器の疾患に続いて起こる続発性アルドステロン症に大別されます。
 原発性アルドステロン症は、報告者の名前にちなんで、コン症候群とも呼ばれます。
 副腎皮質の片側の腫瘍(しゅよう)、または両側の副腎皮質の肥大増殖が原因となって、原発性アルドステロン症は起こります。腫瘍の場合は、ここからアルドステロンが多量に分泌されますが、肥大増殖の場合は、副腎全体からアルドステロンが出てきます。
 アルドステロンは腎臓に作用し、体の中にナトリウムと水分を蓄えるために高血圧になります。また、尿の中にカリウムを排出する作用を持つため、アルドステロンが過剰になると血液中のカリウムが減って、低カリウム血症となり、筋力の低下による四肢の脱力や、疲れやすいなどの症状が引き起こされます。
 そのほか、低カリウム血症により尿量が多くなり、口の渇きがみられたり、発作的に数時間の間、手足が動かなくなる周期性四肢まひが起こったり、テタニー発作という痛みを伴う筋肉の硬直現象が起こることもあります。
 高血圧に低カリウム血症を合併していたら、この原発性アルドステロン症が疑われます。治療しないでほうっておくと、高血圧が長く続くために体のいろいろな臓器に障害が起こってきますので、内科、ないし内分泌代謝内科の専門医を受診することが勧められます。
 一方、続発性アルドステロン症は、ほかの臓器の障害により、レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系というホルモン系が刺激を受け、結果として過剰なアルドステロンが分泌されることが原因となって起こります。
 エストロゲン製剤(卵胞ホルモン製剤)に起因する高血圧や、腎血管性高血圧、妊娠高血圧、悪性高血圧、褐色細胞腫、傍糸球体細胞腫(しゅ)など高血圧の疾患から発生するもののほか、うっ血性心不全、偽性低アルドステロン症、腹水を随伴させた肝硬変、下剤および利尿薬などの不適切利用、ネフローゼ症候群、バーター症候群、ギッテルマン症候群といった高血圧以外の疾患から発生するものがあります。
 レニンーアンジオテンシンーアルドステロン系を除いたものでは、高カリウム血症によって引き起こされる傾向にあります。
 主に現れる症状は、浮腫(ふしゅ、むくみ)、下肢脱力、筋力低下であり、これらは低カリウム血症を基礎にして生じ、どの続発性アルドステロン症にも同じく現れます。
 また、続発性アルドステロン症を招いている元となる疾患の症状も示されます。例えば、腎血管性高血圧、悪性高血圧、褐色細胞腫では高血圧を伴いますが、バーター症候群、心不全や肝硬変などの浮腫性疾患では高血圧を伴いません。
[喫茶店]アルドステロン症の検査と診断と治療
 内科、内分泌代謝内科の医師による原発性アルドステロン症の診断では、アルドステロンの過剰分泌を確かめるため、血液中、尿中のホルモンを測定します。
 アルドステロンは腎臓から分泌されるレニンというホルモンによって調節されていますが、原発性アルドステロン症のように、副腎から勝手にアルドステロンが出てくると、レニンはその働きを控えます。そこで、診断のためには血漿(けっしょう)レニン活性が抑制されていることを確認します。
 腫瘍か肥大増殖か、また、左右どちらの副腎に腫瘍があるのかなどを判断するため、腹部のCT検査、MRI検査、あるいは副腎シンチグラフィーを行います。腫瘍はしばしば小さく、また多発性のこともあり、これらの検査で診断できない場合があります。その場合は副腎の近くの血管にカテーテルを挿入して、そこから採血する副腎静脈血サンプリングという検査を行うこともあります。
 内科、内分泌代謝内科の医師による原発性アルドステロン症の治療では、腫瘍による場合、その腫瘍を手術で摘出します。何らかの理由で摘出手術ができない場合や、肥大増殖の場合は内服薬で治療を行います。アルドステロンの産生を制限する目的でトリロスタン(デソパン)、作用を阻害する目的でスピロノラクトン(アルダクトン)などを用います。
 原発性アルドステロン症が治れば、血圧は徐々に低下します。しかし、疾患の期間が長く高血圧が長く続いた場合は、血圧が下がりにくいこともあります。
 内科、内分泌代謝内科の医師による続発性アルドステロン症の診断では、元となる疾患が明らかとなり、低カリウム血症がみられ、アルドステロンおよびレニンの両者が高値を示せば、確定します。避妊薬、下剤、利尿薬などの服用している薬剤についての情報も重要となります。
 内科、内分泌代謝内科の医師による続発性アルドステロン症の治療では、基本的に元となる疾患の是正が中心となります。
 浮腫や低カリウム血症などが継続してみられ、元となる疾患の治療も難しいとされるケースにおいては、スピロノラクトンを利用します。以上の治療方法で改善がみられない場合においては、カリウム製剤を利用します。そのほか、非ステロイド性抗炎症薬の一つであるインドメタシンがバーター症候群に有用とされる場合もあります。
 なお、副作用などの理由からスピロノラクトンを適用できない場合、トリアムテレン(トリテレン)を使用します。ただし、抗アルドステロン様の作用は有しません。




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