SSブログ

■環境汚染が原因の死亡、世界で900万人に上る 環境問題の専門家ら発表 [健康ダイジェスト]

 アメリカやイギリスなどの環境問題の専門家およそ50人で作る研究チームが19日、2015年に環境汚染が原因で死亡した人の数は世界中で900万人に上るとする調査結果をまとめ、イギリスの医学雑誌「ランセット」に発表しました。
 環境汚染による死亡はほぼすべてが低・中所得国で起きており、こうした地域では最大4分の1の死因が環境汚染が原因になっている可能性があります。また、環境汚染の中で最も影響が大きいのは大気汚染で、環境汚染を死因とする死亡件数の3分の2を占めました。
 環境汚染の悪影響を最も受けていたのはバングラデシュとソマリアで、環境汚染関連の死者数が最も少なかったのはブルネイとスウェーデンでした。
 環境汚染による死亡のうち最も多かったのは、心臓病や脳卒中、肺がんなど、汚染との関連が指摘されている非感染性の疾患によるものでした。
 調査を行ったアメリカ・ニューヨークのマウントサイナイ医科大学のフィリップ・ランドリガン教授は、「環境汚染は単なる環境問題ではなく、人間の健康に多くの面で影響を与える、まん延している深刻な脅威だ」と話しています。
 環境汚染の中で最大のリスク要因の空気汚染は、650万人の早期死亡の一因となっています。これには、ガスなど屋外を発生源とするものや、屋内での木材や炭の燃焼など家屋で発生するものが含まれます。
 次にリスク要因として大きなものは水質汚染で、180万人の死因となっています。一方で、職場での汚染は、世界中で80万人の死亡との関連が指摘されています。
 こうした死亡件数の約92%は、より貧しいアジアやアフリカの国で起きており、インドや中国など急速な経済発展を遂げている国も、最も大きな影響を受けていました。汚染による死亡者数の多さで、インドは5位の約250万人、中国は16位の約180万人でした。
 イギリスでは、約5万人の死亡が環境汚染と関連し、死因の約8%を占めているとみられています。イギリスは、調査対象の188カ国のうち55位で、アメリカやドイツ、フランス、スペイン、イタリア、デンマークなどの多くの欧州諸国よりも、死因に占める環境汚染の割合が高くなっています。
 イギリスの肺財団のペニー・ウッズ博士は、「大気汚染は世界中で危機的な水準に達しており、イギリスは西ヨーロッパの多くの国やアメリカよりも状況が悪い」と延べ、「大量の有毒な粒子やガスを排出することで知られるディーゼル車への依存が、要因の一つかもしれない。これが肺に病気のある人や子供、お年寄りに最も影響を与えている」と分析しています。
 アメリカでは、約15万5000人の死亡が環境汚染と関連し、死因の約5・8%を占めているとみられています。
 研究チームは、「エイズや自然災害などに比べ環境汚染は死を引き起こすものとして注目されてこなかったが、これは重大な問題だ」として、国際社会に対策を急ぐよう呼び掛けています。

 2017年10月22日(日)

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。