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■難病患者の体内でゲノム編集し、遺伝子を修復 アメリカで世界初の臨床試験 [健康ダイジェスト]

 遺伝子を精度よく改変できるゲノム編集技術を用い、難病患者の体内で遺伝子を直接修復して治療する世界初の臨床試験を開始したと、アメリカのサンガモ・セラピューティクス社が15日、発表しました。
 これまで、血液中の免疫細胞を体外に取り出し、その遺伝子をゲノム編集で修復する臨床研究は例がありますが、体内では初めて。
 同社によると、カリフォルニア州の病院で始まった臨床試験は、代謝物質「ムコ多糖」の分解に不可欠な酵素が肝臓で作られないために、骨や関節の変形、呼吸困難、臓器肥大などの症状が出る先天性難病「ムコ多糖症2型」が対象。
 ゲノム編集するための正常な遺伝子を組み込んだ「運び屋」のウイルスを、点滴で静脈から投与し患者の体内に送り込みます。ウイルスが肝臓の細胞にたどり着くと、まずゲノム編集の道具となる2種類のタンパク質が作られ、それらが肝細胞の遺伝子を修復して、必要な酵素が作られるようにします。
 今回のゲノム編集技術は、現在広く使われている「クリスパー・キャス9」より前に開発された「ジンクフィンガー・ヌクレアーゼ」。目的の遺伝子を探し出すタンパク質と、その部分を切断するタンパク質がセットになっています。
 難病患者は44歳の男性で、13日に投与を受けました。担当医は、「肝細胞の1%で遺伝子が修復されれば治療は成功する」とみているといいます。患者計9人に投与する予定で、同社は「血友病B」と「ムコ多糖症1型」でも体内でのゲノム編集による臨床試験の準備を進めています。いずれも肝細胞がターゲットといいます。
 ムコ多糖症では、ムコ多糖が分解されずにたまっていくことで、さまざまな臓器や組織に障害が起きます。分解酵素を定期的に点滴で投与する治療がありますが、効果は限定的といいます。  
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)とゲノム編集を組み合わせ、遺伝性難病の治療法を研究する京都大学の堀田秋津講師は、「ゲノム編集による治療はこれまで、血液細胞など体外に取り出せるもので研究が進んでいた。今回は体外に取り出せない臓器を対象としており、新たな疾患の治療法確立に向けた第一歩だ。一方、ゲノム編集するタンパク質が狙っていない遺伝子を変えるリスクも考えられ、安全性を見極める必要がある」と話しています。

 2017年11月18日(土)

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