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■食物アレルギーの治療や検査で9人が重い症状を発症 小児アレルギー学会が調査 [健康ダイジェスト]

 アレルギーの専門の医師でつくる日本小児アレルギー学会は、全国の医療機関を対象に調査を行い、食物アレルギーの治療や検査に関連して、少なくとも9人が自力での呼吸が難しくなるなどの重い症状を起こしていたことが明らかになりました。
 この調査は、横浜市にある神奈川県立こども医療センターが行った食物アレルギーの臨床研究に参加した牛乳アレルギーの子供が、ぜんそくの発作の2日後、一時、心肺停止になるなどの重いアレルギー症状を発症していたことが先週明らかになったことなどから、日本小児アレルギー学会が緊急に行い、19日、宇都宮市で開かれた学会のシンポジウムで公表しました。
 調査は食物アレルギーの診療を行っている全国344の医療機関を対象に行い、83%に当たる287の施設から回答を得ました。
 その結果、食物アレルギーの患者が自力での呼吸が難しくなるなど重い症状が出た事例は、これまでに16施設で18件あったということです。この中では、アレルギーの原因となる食べ物を間違って口にしてしまう「誤食」が8人と最も多く、この中の2人は記憶障害などの後遺症が出たということです。
 また、治療や検査に関連して起きた事例についても初めて調査をしたところ、食べ物を口にしてアレルギーの診断を行う検査では5人、アレルギーの原因となる食べ物を少しずつ食べる「経口免疫療法」と呼ばれる治療では4人に重い症状が出たことがわかりました。この中には、気道に管を挿入するなどの緊急の対応を行ったケースもあったということです。
 日本小児アレルギー学会では追加の調査を行い、原因や対応策などを探りたいとしています。
 今回の調査結果で最も多かったのは、「誤食」でした。食物アレルギーの問題に詳しい国立病院機構相模原病院の海老澤元宏医師によりますと、自宅ではきちんと症状が出ないように食事ができていても、外食や宿泊先で提供された食事のほか、学校や保育園などでの給食で誤食が多く起きているということです。
 そのため、外食産業や教育現場に携わる人たちのさらなる知識の向上が必要になるほか、患者自身は緊急時の治療薬を常に携帯するよう改めて意識し、おう吐が続いたり、息がしにくかったりするなどの症状が一つでもあれば、注射薬を使うようにしてほしいということです。
 また、医師の指導のもとで行う治療や検査に関連して重いアレルギー症状が出ていることについては、風邪やぜんそくなど体調の悪化によって、通常よりも少ない量の摂取で強いアレルギー症状が出てしまうことがあるとしています。
 どのような状況や量で起きるかは患者それぞれによって違うということで、治療の継続や摂取できる量を自己判断することなく、少しでも悩んだら診療を受けている専門医に聞くことが重要だとしています。

 2017年11月19日(日)

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