■用語 カテコラミン誘発性多型性心室頻拍 [用語(か)]
致死性不整脈を引き起こす可能性がある不整脈
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍とは、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、心筋症といった心臓の器質的な病変がない場合でも、心室頻拍や心室細動といった致死性不整脈へと直接つながる可能性を有する頻脈性の不整脈。
CPVT(Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia)とも呼ばれます。
小児期の失神や突然死の原因疾患として、近年注目されている不整脈ですが、発生頻度は極めてまれであり、心臓における電気的刺激の伝達にかかわる遺伝子異常によって引き起こされます。
現在までに心臓のリアノジン受容体RyR2の遺伝子異常と、カルセクエストリン2(Calsequestrin 2)というカルシウム結合蛋白(たんぱく)の遺伝子異常により引き起こされることが明らかになっており、前者は常染色体優性遺伝を示し、後者は常染色体劣性遺伝を示します。これらの遺伝子異常により、心筋細胞内の筋小胞体に存在するリアノジン受容体(RyR)からの異常なカルシウムイオンの放出が起こることが知られています。
運動や感情の高まり(カテコラミン刺激)に伴って、脳内で放出される神経伝達物質であるカテコラミン(カテコールアミン)が、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍の誘因となります。
カテコラミンは体で興奮系の作用を示す神経伝達物質で、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンが含まれます。ドーパミンは中枢の神経伝達物質として快の感情、学習、意欲、運動、ホルモンの調節などの働きを持ちます。アドレナリンは恐怖のホルモンとして、ノルアドレナリンは怒りのホルモンとして、交感神経系の作動に働きます。
心筋細胞内の筋小胞体に存在するリアノジン受容体からカルシウムイオンが漏れ出て、これに運動や感情の高まりに伴って脳内で放出されたアドレナリンなどのカテコラミンが加わることによって、心筋細胞内のカルシウムイオンがさらに増加します。これにより心筋細胞の反応が過剰に強く引き起こされ、電気的興奮が異常に高まる結果、心室頻拍や心室細動といった重篤な致死性不整脈を発生させます。
現れる症状は、動悸(どうき)や、めまい、失神です。失神は、二方向性心室頻拍、多形性心室頻拍、多形性心室期外収縮、多源性心室頻拍などが誘発され、心室細動に移行することにより起こります。心停止が初めて現れる症状である場合もしばしば見受けられ、突然死につながることもあります。
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍は、幼少時に発症することが最も多く、平均初発年齢は7歳から9歳。時として診断が遅れることがあり、青年期以降または中年期以降に診断される場合もあります。
約30%の発症者に、失神および突然死の家族歴を認めます。薬剤治療を行わなかった場合、予後はきわめて不良で、40歳までの死亡率が30~50%と高いことが報告されています。薬剤治療を行っても、10年で15%から40%は死亡するとされています。
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍の検査と診断と治療
小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、運動をしたり、感情が高まって興奮したりする交感神経緊張時に失神を起こすことが多いため、これまでの失神の状況を問診します。また、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍と診断されている血縁者がいないか、もくして突然死した血縁者がいないかなどを詳しく問診します。
安静時心電図は役に経たないため、基礎心疾患の有無や、運動前後あるいは身体的ストレス、感情的ストレスによる不整脈を評価する目的で、心臓超音波検査、運動負荷心電図検査、24時間にわたる心電図を記録するホルタ―心電図検査などを行います。
β(ベータ)アドレナリン受容体刺激薬を点滴して不整脈を評価する薬物負荷検査、リアノジン受容体RyR2の遺伝子変異の有無を解析する遺伝子検査を行うこともあります。
小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、体内におけるカテコラミンの影響を抑制することに重点を置き、交感神経のアドレナリン受容体であるβ受容体に対するカテコラミンの伝達を遮断するβ遮断薬(交感神経β受容体遮断薬)が第一選択となります。β遮断薬単独で効果が得られない場合は、カルシウム拮抗(きっこう)薬やナトリウム遮断薬を併用することがあります。
症状の状態に応じて、適切な範囲での運動制限または運動禁止も行います。
心停止を起こしたことがある場合や、薬剤によって不整脈が抑制されない場合は、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術を勧めることがあります。植え込み型除細動器は致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置ですが、突然死の予防効果は不完全です。
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍とは、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、心筋症といった心臓の器質的な病変がない場合でも、心室頻拍や心室細動といった致死性不整脈へと直接つながる可能性を有する頻脈性の不整脈。
CPVT(Catecholaminergic Polymorphic Ventricular Tachycardia)とも呼ばれます。
小児期の失神や突然死の原因疾患として、近年注目されている不整脈ですが、発生頻度は極めてまれであり、心臓における電気的刺激の伝達にかかわる遺伝子異常によって引き起こされます。
現在までに心臓のリアノジン受容体RyR2の遺伝子異常と、カルセクエストリン2(Calsequestrin 2)というカルシウム結合蛋白(たんぱく)の遺伝子異常により引き起こされることが明らかになっており、前者は常染色体優性遺伝を示し、後者は常染色体劣性遺伝を示します。これらの遺伝子異常により、心筋細胞内の筋小胞体に存在するリアノジン受容体(RyR)からの異常なカルシウムイオンの放出が起こることが知られています。
運動や感情の高まり(カテコラミン刺激)に伴って、脳内で放出される神経伝達物質であるカテコラミン(カテコールアミン)が、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍の誘因となります。
カテコラミンは体で興奮系の作用を示す神経伝達物質で、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンが含まれます。ドーパミンは中枢の神経伝達物質として快の感情、学習、意欲、運動、ホルモンの調節などの働きを持ちます。アドレナリンは恐怖のホルモンとして、ノルアドレナリンは怒りのホルモンとして、交感神経系の作動に働きます。
心筋細胞内の筋小胞体に存在するリアノジン受容体からカルシウムイオンが漏れ出て、これに運動や感情の高まりに伴って脳内で放出されたアドレナリンなどのカテコラミンが加わることによって、心筋細胞内のカルシウムイオンがさらに増加します。これにより心筋細胞の反応が過剰に強く引き起こされ、電気的興奮が異常に高まる結果、心室頻拍や心室細動といった重篤な致死性不整脈を発生させます。
現れる症状は、動悸(どうき)や、めまい、失神です。失神は、二方向性心室頻拍、多形性心室頻拍、多形性心室期外収縮、多源性心室頻拍などが誘発され、心室細動に移行することにより起こります。心停止が初めて現れる症状である場合もしばしば見受けられ、突然死につながることもあります。
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍は、幼少時に発症することが最も多く、平均初発年齢は7歳から9歳。時として診断が遅れることがあり、青年期以降または中年期以降に診断される場合もあります。
約30%の発症者に、失神および突然死の家族歴を認めます。薬剤治療を行わなかった場合、予後はきわめて不良で、40歳までの死亡率が30~50%と高いことが報告されています。薬剤治療を行っても、10年で15%から40%は死亡するとされています。
カテコラミン誘発性多型性心室頻拍の検査と診断と治療
小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、運動をしたり、感情が高まって興奮したりする交感神経緊張時に失神を起こすことが多いため、これまでの失神の状況を問診します。また、カテコラミン誘発性多型性心室頻拍と診断されている血縁者がいないか、もくして突然死した血縁者がいないかなどを詳しく問診します。
安静時心電図は役に経たないため、基礎心疾患の有無や、運動前後あるいは身体的ストレス、感情的ストレスによる不整脈を評価する目的で、心臓超音波検査、運動負荷心電図検査、24時間にわたる心電図を記録するホルタ―心電図検査などを行います。
β(ベータ)アドレナリン受容体刺激薬を点滴して不整脈を評価する薬物負荷検査、リアノジン受容体RyR2の遺伝子変異の有無を解析する遺伝子検査を行うこともあります。
小児循環器科、循環器科、循環器内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、体内におけるカテコラミンの影響を抑制することに重点を置き、交感神経のアドレナリン受容体であるβ受容体に対するカテコラミンの伝達を遮断するβ遮断薬(交感神経β受容体遮断薬)が第一選択となります。β遮断薬単独で効果が得られない場合は、カルシウム拮抗(きっこう)薬やナトリウム遮断薬を併用することがあります。
症状の状態に応じて、適切な範囲での運動制限または運動禁止も行います。
心停止を起こしたことがある場合や、薬剤によって不整脈が抑制されない場合は、植え込み型除細動器(ICD)の埋め込み手術を勧めることがあります。植え込み型除細動器は致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置ですが、突然死の予防効果は不完全です。
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