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■人の受精卵のゲノム編集、実施前に研究機関と国の審査を 生命倫理専門調査会が報告書 [健康ダイジェスト]

 内閣府の生命倫理専門調査会の作業部会は21日、遺伝子を精度よく改変できる「ゲノム編集」技術を人の受精卵に使う研究について、生殖補助医療を目的とする研究を指針で規制し、実施前に研究機関の倫理審査委員会と国による2段階の審査を受けるべきだとする報告書を大筋で取りまとめました。
 人の受精卵の遺伝子を改変する研究は、生命の始まりの解明などが期待される一方、子供が生まれた場合に改変の影響が世代を超えて受け継がれたり、改変で予期しない副作用が起こる恐れがあったり、親の好みの能力や容姿を持った「デザイナーベビー」の誕生につながる可能性があったりします。生殖補助医療大国と呼ばれる日本は600以上のクリニックで受精卵が作られており、臨床研究名目での乱用の恐れが指摘されていました。
 報告書では、指針の対象となる技術としてゲノム編集や、細胞の機能を補うためのミトコンドリアの移植など5項目を挙げ、研究目的でも改変した受精卵を人や動物の胎内に移植することは「現時点では容認できない」としました。研究内容の審査は、各研究機関内の倫理審査委員会と、国や学会による2段階で実施します。研究に利用できるのは不妊治療で余った受精卵に限り、新たに作ることは禁止します。
 ゲノム編集を使った受精卵改変研究を巡っては、生命倫理専門調査会が昨春に中間報告をまとめ、遺伝情報を操作した受精卵を母体に戻すことは認めない見解を示す一方で、基礎的な研究として受精卵の遺伝情報を書き換えること自体については、人の遺伝子の働きを解明したり、難病の治療などに役立つ可能性があったりするため、認められる場合があるとする見解を示していました。
 今回の生命倫理専門調査会の作業部会では、研究者が違反しないよう厳格な法規制を求める意見もありましたが、難病やがん予防目的の研究も含めた包括的な規制は今後の課題とし、年内に最終的な報告書をまとめ、文部科学省や厚生労働省が具体的な指針を検討します。

 2017年11月23日(木)

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