■用語 アスリート心臓 [用語(あ)]
長期にわたり、激しい肉体運動を続けるアスリートなどにみられる心臓の状態
アスリート心臓とは、長期にわたって激しい肉体運動を続けるマラソン、水泳、ボート、自転車などの持久力を要するアスリート(運動選手、スポーツマン、スポーツ選手)にみられる、心臓が肥大する症状。スポーツ心臓、スポーツ心臓症候群とも呼ばれます。
1899年、スウェーデンのヘンシェン医師がクロスカントリースキー選手の診察をして、心臓疾患がないのに心臓が大きくなっていることに気付いて、この特異な症状をアスリート心臓と名付けました。
高血圧や心臓弁膜症などの疾患でも心臓が大きくなりますが、このような病的な心臓とアスリート心臓との最も重要な相違は、病的な心臓では心機能が低下しているのに対して,アスリート心臓では心機能が優れている点です。一般的に、肉体運動を中止すると平常のサイズの心臓に戻ります。
アスリート心臓の特徴は、心臓自体が球状に大きくなっていくのとともに、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられることが挙げられます。
一般的な人の場合、安静時の心拍数は1分間に60~80回が正常とされ、安静時の心拍数が50回以下になると、脈拍が遅くなる徐脈性の不整脈である疑いが指摘されます。しかし、アスリート心臓が出現するようなトップアスリートでは、安静時の心拍数が40回を下回ることが少なくなく、中には30回以下という例もあります。一般の人では異常とされる所見も、アスリート心臓の場合には激しい肉体運動によって心臓に構造的、機能的な変化が生じたもので、生理的な適応現象だと考えられています。
なお、脈拍は徐脈の傾向を示しますが、血圧に関しては、一般の人の血圧とアスリート心臓の人の血圧とには、数値にそれほど大きな違いはみられないとされています。
アスリート心臓は、いずれの競技種目の選手にもみられるものではなく、種目によって出現しやすさが変わります。比較的多くみられるのは、マラソン、水泳、ボート、自転車、クロスカントリースキー、重量挙げ、柔道などの持久力や耐久力が必要とされる競技種目のアスリートです。
アスリート心臓の特徴を示すに至るには、アスリート歴が長く、しかもかなりハードなトレーニングを長い期間にわたって続けることが必要になります。ある調査で、1日に10キロほどのジョギングの習慣があり、フルマラソンやトライアスロンのレースにも出場するような市民ランナーを対象に心臓の所見を調べたところ、アスリート心臓の場合と同様に徐脈の傾向はみられたものの、アスリート心臓との所見がみられた例はなかったといいます。
このことからも、アスリート心臓自体はかなりハードで高度なトレーニングを何年にもわたって続けてきたトップアスリートにのみ出現するものだと考えられています。トップアスリートがアスリート心臓になる確率は、女性が22・5%、男性が7・5%と女性のほうが高くなっています。
アスリート心臓は競技種目の特性やトレーニングの強度などにより、心肥大型、心拡張型、複合型に分類されます。
心肥大型は、瞬発力を要するような競技種目のアスリートに多くみられる型です。代表的な競技種目に、重量挙げや柔道、レスリングなどがあります。筋力トレーニングのように、筋肉を急激に縮めるような運動を行うことで心臓にはその圧力の負荷がかかるため、次第に心臓の壁が厚くなっていきます。特に、左心室の壁に筋肉が増えることによる肥厚が顕著となります。また、それに伴って心臓の重さも増します。
心拡張型は、持久力を要するような競技種目の選手に多くみられる型です。代表的な種目としては、マラソンなどの長距離走や水泳があります。持久性トレーニングのような運動により、運動をしている時には血圧が上昇し、心拍数も増加します。また、1回に心臓から送り出される血液量も増加するため、一度に送り出す血液の容量を増やすという負荷が心臓に加わります。その結果、次第に心臓は容積を増やすように拡張して大きくなります。とりわけ、左心室の内腔に容積の拡大が顕著にみられるという特徴があります。
複合型は、心肥大型と心拡張型との両方が起こった状態です。代表的な競技種目に、自転車やクロスカントリースキーがあります。競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要なことと、筋肉が1回当たり出力している時間が他の競技と比べ長いために、心室の壁が厚くなり、かつ心室の容積が増えるタイプの心臓となります。
心電図にしばしば異常が認められ、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられる場合でも、アスリート心臓と診断される場合には病的なものとはされません。しかし、例えば競技中に突然死する原因の一つとされる肥大型心筋症のように、アスリート心臓と類似した所見を示す疾患が、アスリート心臓と誤診される可能性がないわけではありません。
定期的に検診やメディカルチェックを受けるようにして、必要な場合にはきちんと治療を受けておくようにすることが大切です。
アスリート心臓の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、アスリート歴、病歴を問診した上、聴診、心電図検査、胸部X線検査を行います。
アスリート心臓の特徴である聴診時の心雑音、安静時の心拍数が1分間に40~50回未満の徐脈、胸全体の大きさに対して心臓が占める割合である心胸郭比50%超を認める場合は、アスリート心臓である可能性が高いと判断します。
過去に心筋症や不整脈がなかったことを確認できない場合は、特発性拡張型心筋症、肥大型心筋症などがアスリートにとっての突然死の原因となり得るため、心エコー検査、24時間ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査などを追加して精密検査を行い、重篤な心疾患との鑑別を行います。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、一般に経過が良好なため、処置を行いません。アスリート心臓における変化は可逆的なのが特徴で、トレーニングを中止するとアスリート心臓にみられる特徴の多くはみられなくなります。
アスリート心臓とは、長期にわたって激しい肉体運動を続けるマラソン、水泳、ボート、自転車などの持久力を要するアスリート(運動選手、スポーツマン、スポーツ選手)にみられる、心臓が肥大する症状。スポーツ心臓、スポーツ心臓症候群とも呼ばれます。
1899年、スウェーデンのヘンシェン医師がクロスカントリースキー選手の診察をして、心臓疾患がないのに心臓が大きくなっていることに気付いて、この特異な症状をアスリート心臓と名付けました。
高血圧や心臓弁膜症などの疾患でも心臓が大きくなりますが、このような病的な心臓とアスリート心臓との最も重要な相違は、病的な心臓では心機能が低下しているのに対して,アスリート心臓では心機能が優れている点です。一般的に、肉体運動を中止すると平常のサイズの心臓に戻ります。
アスリート心臓の特徴は、心臓自体が球状に大きくなっていくのとともに、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられることが挙げられます。
一般的な人の場合、安静時の心拍数は1分間に60~80回が正常とされ、安静時の心拍数が50回以下になると、脈拍が遅くなる徐脈性の不整脈である疑いが指摘されます。しかし、アスリート心臓が出現するようなトップアスリートでは、安静時の心拍数が40回を下回ることが少なくなく、中には30回以下という例もあります。一般の人では異常とされる所見も、アスリート心臓の場合には激しい肉体運動によって心臓に構造的、機能的な変化が生じたもので、生理的な適応現象だと考えられています。
なお、脈拍は徐脈の傾向を示しますが、血圧に関しては、一般の人の血圧とアスリート心臓の人の血圧とには、数値にそれほど大きな違いはみられないとされています。
アスリート心臓は、いずれの競技種目の選手にもみられるものではなく、種目によって出現しやすさが変わります。比較的多くみられるのは、マラソン、水泳、ボート、自転車、クロスカントリースキー、重量挙げ、柔道などの持久力や耐久力が必要とされる競技種目のアスリートです。
アスリート心臓の特徴を示すに至るには、アスリート歴が長く、しかもかなりハードなトレーニングを長い期間にわたって続けることが必要になります。ある調査で、1日に10キロほどのジョギングの習慣があり、フルマラソンやトライアスロンのレースにも出場するような市民ランナーを対象に心臓の所見を調べたところ、アスリート心臓の場合と同様に徐脈の傾向はみられたものの、アスリート心臓との所見がみられた例はなかったといいます。
このことからも、アスリート心臓自体はかなりハードで高度なトレーニングを何年にもわたって続けてきたトップアスリートにのみ出現するものだと考えられています。トップアスリートがアスリート心臓になる確率は、女性が22・5%、男性が7・5%と女性のほうが高くなっています。
アスリート心臓は競技種目の特性やトレーニングの強度などにより、心肥大型、心拡張型、複合型に分類されます。
心肥大型は、瞬発力を要するような競技種目のアスリートに多くみられる型です。代表的な競技種目に、重量挙げや柔道、レスリングなどがあります。筋力トレーニングのように、筋肉を急激に縮めるような運動を行うことで心臓にはその圧力の負荷がかかるため、次第に心臓の壁が厚くなっていきます。特に、左心室の壁に筋肉が増えることによる肥厚が顕著となります。また、それに伴って心臓の重さも増します。
心拡張型は、持久力を要するような競技種目の選手に多くみられる型です。代表的な種目としては、マラソンなどの長距離走や水泳があります。持久性トレーニングのような運動により、運動をしている時には血圧が上昇し、心拍数も増加します。また、1回に心臓から送り出される血液量も増加するため、一度に送り出す血液の容量を増やすという負荷が心臓に加わります。その結果、次第に心臓は容積を増やすように拡張して大きくなります。とりわけ、左心室の内腔に容積の拡大が顕著にみられるという特徴があります。
複合型は、心肥大型と心拡張型との両方が起こった状態です。代表的な競技種目に、自転車やクロスカントリースキーがあります。競技時間が長く有酸素的な酸素供給量が必要なことと、筋肉が1回当たり出力している時間が他の競技と比べ長いために、心室の壁が厚くなり、かつ心室の容積が増えるタイプの心臓となります。
心電図にしばしば異常が認められ、不整脈や徐脈など脈拍に変動がみられる場合でも、アスリート心臓と診断される場合には病的なものとはされません。しかし、例えば競技中に突然死する原因の一つとされる肥大型心筋症のように、アスリート心臓と類似した所見を示す疾患が、アスリート心臓と誤診される可能性がないわけではありません。
定期的に検診やメディカルチェックを受けるようにして、必要な場合にはきちんと治療を受けておくようにすることが大切です。
アスリート心臓の検査と診断と治療
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による診断では、アスリート歴、病歴を問診した上、聴診、心電図検査、胸部X線検査を行います。
アスリート心臓の特徴である聴診時の心雑音、安静時の心拍数が1分間に40~50回未満の徐脈、胸全体の大きさに対して心臓が占める割合である心胸郭比50%超を認める場合は、アスリート心臓である可能性が高いと判断します。
過去に心筋症や不整脈がなかったことを確認できない場合は、特発性拡張型心筋症、肥大型心筋症などがアスリートにとっての突然死の原因となり得るため、心エコー検査、24時間ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査などを追加して精密検査を行い、重篤な心疾患との鑑別を行います。
循環器科、内科循環器科、内科などの医師による治療では、一般に経過が良好なため、処置を行いません。アスリート心臓における変化は可逆的なのが特徴で、トレーニングを中止するとアスリート心臓にみられる特徴の多くはみられなくなります。
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