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■慈恵会医大、ラットで尿生成機能を持つ腎臓を再生 人への臨床応用に前進 [健康ダイジェスト]

 胎児の体内で行われている臓器の発生プログラムを活用し、腎臓を再生させることにラットで初めて成功したと、東京慈恵会医科大学の研究チームがイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表しました。尿を生成するなど腎臓の機能を完全に備えているといい、人への臨床応用に向けて大きく前進しそうです。
 研究チームは、遺伝子を改変したマウスの胎児を作製。胎児の腎臓の「芽」に、ラットの腎臓になる前駆細胞を注入し、同じ遺伝情報を持った別のラットに芽ごと移植しました。その後、特殊な薬をラットに投与すると、芽に元々含まれていたマウスの前駆細胞が死滅。芽に周囲の組織から血管が入り込み、4週間後にはラットの細胞だけでできた腎臓が再生しました。腎臓内で尿が作られることも確認しました。
 研究チームは、再生した尿管を使って尿を体外に排出させる技術をラットで開発しています。さらに、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から腎臓の前駆細胞を作製する技術も完成させています。マウスの代わりにブタの胎児の腎臓の芽を使い、ラットの代わりに腎不全患者のiPS細胞から作製した腎臓の前駆細胞を使えば、機能をすべて備えた人の腎臓を再生させることが可能になるといいます。
 研究チームの横尾隆・慈恵会医大教授(腎臓・高血圧内科)は、「再生した後は免疫抑制剤も要らなくなる。異種移植を利用した腎臓の再生医療実現に向け、人での研究を進めたい」と話しています。
 国内では人工透析を受ける腎臓病患者は約33万人に上り、医療費も年1兆円を超えています。腎移植の希望がかなわない患者が多く、腎臓再生に期待がかかります。
 一方、人への臨床応用には安全性の確保に加え、倫理面の議論も必要。具体的には、動物が持つ病気がうつらないか、動物の細胞が残らないかなど慎重な検討が欠かせません。
 人の臓器の再生に動物を利用することへの抵抗感も根強く、日本再生医療学会の八代嘉美幹事は「研究内容を公開し、国民との対話を深める必要がある」と指摘しています。

 2017年11月24日(金)

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