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■289疾患のiPS細胞を保存し、指定難病の5割以上をカバー 理化学研究所バイオリソースセンター [健康ダイジェスト]

 茨城県つくば市の理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)は、有効な治療法が確立されていない病気に効く薬の開発などに役立てるため、国内の研究機関が患者の皮膚や血液から作製した289種類の病気のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の寄託を受け、凍結保存しています。国が難病に指定している疾患の5割以上をカバーしています。
 京都大学の山中伸弥教授が人のiPS細胞の作製を発表してから今月で10年。治療薬の候補となる物質の特定につながる成果も上がり始めており、iPS細胞を用いた創薬研究が今後、加速しそうです。
 患者の組織から作製したiPS細胞を使って培養皿の上で病気を再現すれば、治療につながる物質の特定作業が容易になると考えられています。このため、BRCは国内の研究機関が患者の皮膚や血液から作製したiPS細胞を集めて凍結保存し、別の研究機関に提供して研究に役立ててもらう「疾患特異的iPS細胞バンク」を2010年12月から運営してきました。京都大学iPS細胞研究所など国内の公的研究機関が作製した患者由来のiPS細胞の寄託を受ける仕組みです。
 BRCによると、国内の11機関が昨年度末までに、786人の患者の組織から作製した289種類の病気のiPS細胞を疾患特異的iPS細胞バンクに提供しました。筋委縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの国指定の難病が171種類含まれており、全部で331疾患ある指定難病の半数以上をカバーしています。指定難病以外にも、アルツハイマー病や統合失調症、てんかんなど、治療が難しく患者数が多い疾患もあります。また、疾患特異的iPS細胞バンクを通さずに進む研究もあります。
 BRCはこれまでに国内22機関、海外8機関にiPS細胞を提供しました。神経系の難病の研究に利用されているケースが多いといいます。BRC細胞材料開発室の中村幸夫室長は、「提供は今後増えていくと考えられる。たくさんの研究者に使ってもらい、一つでも多くの難治性疾患の治療に役立ててほしい」と話しています。
 iPS細胞を活用した創薬研究では、京大iPS細胞研究所の戸口田淳也教授らのチームが今年8月、筋肉などに骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の治療薬の候補を特定したと発表。10月から本格的な臨床試験が始まっています。

 2017年11月26日(日)

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