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■用語 アスピリン喘息 [用語(あ)]

[天秤座]アスピリンを始めとした解熱鎮痛薬の使用によって誘発される喘息発作
 アスピリン喘息(ぜんそく)とは、アスピリンを始めとした解熱鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することによって誘発される喘息発作。解熱鎮痛薬喘息、NSAIDs過敏喘息とも呼ばれます。
 アスピリンは、発熱があった時などに使用する解熱鎮痛薬で、アセチルサリチル酸により作られています。非ステロイド性抗炎症薬は全般として、体内で痛みを起こし、熱を上げるプロスタグランジンという炎症物質が合成されるのを妨げる作用を持ち、解熱薬や鎮痛薬、抗炎症薬として幅広く用いられています。
 もともと喘息を患っている人では、激しい喘息発作を起こす場合があり、成人喘息患者の約10%、重症喘息患者の約30%にアスピリン喘息が認められ、とりわけ鼻ポリープとも呼ばれる鼻茸(はなたけ)がある人や、蓄膿(ちくのう)症とも呼ばれる慢性副鼻腔(ふくびくう)炎を合併している人に多くみられます。
 アスピリン喘息の主な症状としては、原因となる非ステロイド性抗炎症薬の服用後から、通常1時間以内に鼻詰まりや鼻水などに続き、息苦しさや咳(せき)などの喘息発作が起こります。また、腹痛や下痢、吐き気などの腹部の症状が出ることもあります。首の辺りから顔面にかけて紅潮し、血管浮腫(ふしゅ)などの皮疹(ひしん)は比較的少ないといわれています。
 非ステロイド性抗炎症薬の使用による症状は、原因薬の効果発現時間にピークとなります。軽症の場合で約半日程度、重症の場合は24時間以上続くこともあります。血管浮腫などの皮疹は出てくるのも遅く、持続時間も長いとされます。症状が進行すると、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤な全身反応を引き起こし、急激に全身の血管が拡張して血圧が下がるとともに、呼吸困難、気管支の筋肉の攣縮(れんしゅく)が起こり、重い喘息発作から最悪の場合は死に至ることもあります。
 アスピリン喘息の原因は、アスピリンやインドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症薬への過敏症によって引き起こされます。アスピリン過敏症を誘発しやすいのは、非ステロイド性抗炎症薬のうち酸性のものが知られています。酸性解熱鎮痛薬に共通してみられるシクロオキシゲナーゼ抑制作用、つまり体内でのプロスタグランジンの合成に作用するシクロオキシゲナーゼという酵素の働きを阻害する作用が関係し、過敏症状を引き起こす細胞が活性化されるのではないかと考えられていますが、アスピリン過敏症を誘発する真のメカニズムは不明です。遺伝的な影響はありません。
 もともと喘息を患っていて、アスピリン過敏症を発症する体質が疑われる場合、とりわけ鼻詰まりや嗅覚(きゅうかく)障害といった鼻の症状がある場合は、市販の風邪薬や解熱鎮痛薬、少量の解熱鎮痛成分の入った湿布、目薬などを使用する際は、常に慎重を期す必要があります。また、色素や防腐剤などの食品添加物でも症状が出ることがあるので、注意を要します。
[天秤座]アスピリン喘息の検査と診断と治療
 内科、耳鼻咽喉(いんこう)科の医師による診断では、詳細な問診を行い、過去に非ステロイド性抗炎症薬の使用により、明らかに喘息発作が誘発されたことがあるかどうかを確認します。
 また、アスピリンあるいは他の非ステロイド性抗炎症薬による負荷試験も行います。これには内服法、吸入法、舌下内服法などがありますが、誘発される症状は非常に多様で、1秒率という1秒間に吐き出された空気の量が肺活量に占める割合の低下、発疹、眼瞼(がんけん)浮腫、遅発型喘息、大発作などが生じるため、呼吸器科の医師の管理のもとに行います。
 内科、耳鼻咽喉科の医師による治療では、主にステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)を使用します。軽症の場合、全身的に影響の少ないステロイド点鼻薬の鼻への噴霧、ステロイド液の点鼻などの局所投与で鼻の症状のコントロールがつくこともあります。
 重症の場合は、ステロイド薬の全身投与が必要になることもあります。また、鼻の治療とともに、気道粘膜に少量のステロイド薬を散布、塗布して、気道の炎症を抑えて気道を元の広さに戻すことで、喘息のコントロールを行います。
 外科的手術としては、内視鏡下に鼻腔・副鼻腔手術を行い、鼻茸を始めとする病的粘膜の除去、鼻腔・副鼻腔の換気ルートを確保します。ただし、手術をしてアスピリン喘息が根本的に治るわけではないので、手術後も引き続き根気よく治療を続けます。アスピリン喘息の発症者はさまざまな薬物に対して過敏症があるため、手術に際しては慎重に対応します。
 アナフィラキシーショックが出た場合は急激に悪化するため、ステロイド薬の点滴、人工呼吸器の装着、血圧を上げる高圧剤の投与、補液の点滴などの対症療法を行います。




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