■用語 低出生体重性低身長症 [用語(て)]
極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない低身長症
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
低出生体重性低身長症とは、妊娠週数(在胎週数)の割に極めて小さく生まれ、3歳を過ぎても身長が一定の基準に追い付かない状態。SGA(Small-for-Gestational Age)性低身長症とも呼ばれます。
子供の低身長症は、身長の伸びを妨げる原因によっていくつかの種類に分けられますが、その中の1つに相当します。
厚生労働省の調査によると、生まれたばかりの新生児の平均身長は男児49・2センチ、女児48・7センチ、平均体重は男児3076グラム、女児2990グラムと報告されています。実際には平均より大きく生まれる新生児もいれば、平均より小さく生まれる新生児もいるわけで、小さく生まれた新生児の中には、母親の胎内にいる間の妊娠週数(在胎週数)からみた時に、身長の伸びや体重の増加がゆっくりで、一定の基準に追い付かずに生まれてくる新生児がいます。
こうした新生児は、胎内発育遅延児(SGA児)と呼ばれます。原因については、母体や胎盤が原因のこともあれば、胎児や遺伝の問題ということもあり、さまざまな要因が重なりあっていると考えられます。
男児の標準的な成長をみると、1歳までに25センチ、1~2歳の間に10センチ、2~3歳の間に8センチ伸びますから、約50センチで生まれた新生児は3歳の時におよそ93センチに成長すると予測できます。子供の体には、こうした成長パターンが組み込まれているために、たとえ小さく生まれたとしても、10人中9人の子供は3歳になるまでの間に、身長が標準の範囲まで追い付きます。
しかし、10人中1人くらいの割合で、3歳を過ぎても身長が標準の範囲まで追い付かない子供がいます。こうした子供は、低出生体重性低身長症(SGA性低身長症)と呼ばれます。
低出生体重性低身長症の子供は、成長ホルモンの分泌はほぼ正常なものの、幼児期を過ぎ、小学校に上がってからも低身長のまま経過することが報告されています。また、通常に比べて思春期の訪れがやや早い傾向もあります。低身長のまま思春期を早く迎えることで、成人になっても背が低いことが予測されます。
低出生体重性低身長症か否かを知る手段の1つに、成長曲線をつける方法があります。成長曲線は、生まれた時からの子供の成長を折れ線グラフで示すもので、母子手帳にも付いています。子供の身長の測定値を継続して記載し、過去のものと線で結んでグラフ化します。あらかじめ標準的な身長グラフも記載されているので、その標準身長と子供の身長を比較してみましょう。もともと、胎内発育遅延児(SGA児)で、3歳になっても-2SD(標準偏差)以上の差がみられる場合は、低出生体重性低身長症が強く疑われます。
子供に低出生体重性低身長症が疑われたら、小児科、小児内分泌科の専門医を受診してください。低身長を改善するために、3歳から成長ホルモンによる治療を始めることが可能です。成長ホルモンの効果は個人差がありますが、効果を出すにはなるべく早い時期から治療を開始するほうが望ましいとされています。
低出生体重性低身長症の検査と診断と治療
小児科、小児内分泌科の医師による診断では、まず生まれた時の様子や、妊娠週数(在胎週数)と体重と身長、その後の成長の様子などを聞くので、受診する保護者には母子手帳や成長曲線の記録などを持参するようにしてもらいます。また、身長と体重の測定などで現在の成長の状況なども調べ、血液中の成長ホルモンの量や、ほかの下垂体ホルモンの量を測定し、総合的に判断します。
低身長には、低出生体重性低身長症以外にも、体質性のもの、疾患によるものなどさまざまな原因が考えられるため、下垂体とその周辺のMRI検査、CT検査を行うこともあります。鑑別すべきものに、思春期遅発症、甲状腺(こうじょうせん)機能低下症による低身長などがあります。
小児科、小児内分泌科の医師による治療は、ヒト成長ホルモンを注射することで、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンを補って、背の伸びを促進させる成長ホルモン療法を行います。ヒト成長ホルモンは、以前はヒト下垂体から抽出していたので、その生産量に限りがありました。現在では、遺伝子工学技術を応用して大量に産出されるようになり、十分な治療が行われています。
本剤は注射液ですが、毎日少量ずつ投与するのが効果的で、自己注射が認められているため、小さい時は保護者が、大きくなると本人が注射の打ち方を習い、毎日1回寝る前に皮膚の下5ミリの部位に皮下注射します。
現在、使いやすくて安全なペン型の注射器が普及しています。従来のものよりも針先を細くして痛みを少なくしたり、注射器に補助具をつけることで針先が見えなくなるなどの工夫がされています。また最近では、ボタンを押すだけで注射できる全自動の注射器や、針のない圧力式注射器も登場しています。このような注射器を使えば安定した注射ができ、自宅で治療を続けることができます。ヒト成長ホルモンの注射を始めた子供の日常生活上の特別な注意点はなく、運動は自由、食事も自由です。
成長ホルモン療法により1年目は平均8センチぐらいの身長の伸びが認められますが、2年目、3年目と伸びは落ちていきます。すぐに正常身長になるというような治療ではありません。長期治療した例の最終身長の平均は、男性で160センチ、女性で148センチ前後とされています。
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