■横浜市大、iPS細胞からミニ肝臓を大量作製 再生医療実現の足掛かりに [健康ダイジェスト]
人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、肝臓の働きをする肝芽(かんが)を大量に作製する方法を開発したと、横浜市立大学などの研究チームが発表しました。
肝機能に異常がある患者に、血管から「ミニ肝臓」として肝芽を移植する治療法につなげる足掛かりになる可能性があるといいます。アメリカの科学誌「セルリポーツ」電子版に6日、掲載されました。
横浜市立大の谷口英樹教授(臓器再生医学)らの研究チームは2013年、すでに肝芽の作製に成功していましたが、iPS細胞以外に、血管の元になる細胞なども加える必要がありました。
今回は、微細なくぼみをつけた特殊な培養プレートを民間企業のクラレ社と開発し、肝芽を構成する3種類の細胞をiPS細胞のみで作製し、立体的なミニ肝臓の形にすることに成功。直径を従来の10分の1程度の約0・1ミリに小さくして、一度に1枚の培養プレート上に2万個作製できるようになりました。2万個のミニ肝臓は、高品質で均質であり、タンパク質の分泌やアンモニア分解などの機能が従来より高まりました。
この肝芽を拒絶反応を起きにくくした肝不全のマウスに移植したところ、正常な肝機能が確認されました。
研究チームは、肝臓の機能異常でアンモニアが分解できない先天性の病気を対象に、今回の方法で培養したミニ肝臓を移植することを目指しています。
谷口教授は、「今後、細胞のがん化などを調べる品質評価の手法を確立する必要があるが、ミニ肝臓を使う臨床研究に向けて一定のめどがついた。2019年度に国に臨床研究の承認申請をしたい」としています。
小林英司・慶応大学特任教授(臓器再生医学)は、「iPS細胞単独で肝芽ができたことは大きな進歩だ。移植場所や定着させる方法などを含め人に近い大型動物で確かめる必要がある」と話しています。
2017年12月7日(木)
肝機能に異常がある患者に、血管から「ミニ肝臓」として肝芽を移植する治療法につなげる足掛かりになる可能性があるといいます。アメリカの科学誌「セルリポーツ」電子版に6日、掲載されました。
横浜市立大の谷口英樹教授(臓器再生医学)らの研究チームは2013年、すでに肝芽の作製に成功していましたが、iPS細胞以外に、血管の元になる細胞なども加える必要がありました。
今回は、微細なくぼみをつけた特殊な培養プレートを民間企業のクラレ社と開発し、肝芽を構成する3種類の細胞をiPS細胞のみで作製し、立体的なミニ肝臓の形にすることに成功。直径を従来の10分の1程度の約0・1ミリに小さくして、一度に1枚の培養プレート上に2万個作製できるようになりました。2万個のミニ肝臓は、高品質で均質であり、タンパク質の分泌やアンモニア分解などの機能が従来より高まりました。
この肝芽を拒絶反応を起きにくくした肝不全のマウスに移植したところ、正常な肝機能が確認されました。
研究チームは、肝臓の機能異常でアンモニアが分解できない先天性の病気を対象に、今回の方法で培養したミニ肝臓を移植することを目指しています。
谷口教授は、「今後、細胞のがん化などを調べる品質評価の手法を確立する必要があるが、ミニ肝臓を使う臨床研究に向けて一定のめどがついた。2019年度に国に臨床研究の承認申請をしたい」としています。
小林英司・慶応大学特任教授(臓器再生医学)は、「iPS細胞単独で肝芽ができたことは大きな進歩だ。移植場所や定着させる方法などを含め人に近い大型動物で確かめる必要がある」と話しています。
2017年12月7日(木)
コメント 0