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■目や耳に生まれ付き障害が出る難病の仕組みを解明 慶大の研究チーム [健康ダイジェスト]

 生まれ付き目や耳、心臓などに障害が出る難病が起こる仕組みの一部を慶応大学の研究チームが解明し、専門誌で報告しました。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、病気の成り立ちを調べました。
 患者の症状を改善するための手掛かりになる可能性があり、治療薬の開発につなげたいといいます。
 調べたのは、新生児の約2万人に1人の割合で現れる「チャージ症候群」という病気で、視力や聴力の障害のほか、心臓や神経などさまざまな臓器や組織で問題が生じます。特定の遺伝子がうまく働かないことが原因とみられていますが、生まれた時にはすでに障害が生じており、どのようにして病気になるのかよくわかっていませんでした。
 慶大の奥野博庸(ひろのぶ)助教らは、胎児の時にどのように病気になるかを調べました。患者と健康な人から皮膚の細胞を提供してもらい、iPS細胞をそれぞれ作製し、目や耳といった感覚器などの基になる「神経堤(てい)細胞」という細胞にしました。これをニワトリの胚(はい)に移植して、様子を観察しました。
 この神経堤細胞は、胎児の体内で自ら動いて目や耳など目的の場所にゆき、そこで本来の組織に変化します。しかし、患者から作製した神経堤細胞の移動する能力は、健康な人から作製した神経堤細胞に比べて大幅に低くなりました。健康な人の細胞はバラバラに動き成長したのに対して、患者の細胞はくっついたままで動きが遅くなりました。
 奥野助教は、「胎児の時に神経堤細胞の動きが異常になり、目的の場所にきちんとたどり着けないことで、感覚器などがうまく働かなくなっているのではないか」とみています。神経堤細胞は骨や筋肉などにも育つことから、今回の成果はチャージ症候群以外の幅広い病気の解明にも役立つといいます。

 2017年12月9日(土)

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