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■羊膜細胞を活用してクローン病を治療へ 兵庫医科大と北大が治験を開始 [健康ダイジェスト]

 兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)は、胎児の体を包み、出産後に捨てられる羊膜の細胞を使って、腸などの消化管で慢性の炎症が起きる難病「クローン病」などの治療を目指す臨床試験(治験)を始めると、12日発表しました。北海道大学病院と共同で、10人前後の患者に細胞を点滴して安全性や効果を調べます。
 羊膜には、骨や脂肪の細胞に変わることができ、免疫反応を抑える「間葉系幹細胞」が多く含まれます。研究チームは、北大病院で帝王切開を受ける妊婦から事前に同意を得て、出産時に羊膜を提供してもらい、細胞を採取します。羊膜の間葉系幹細胞を使う治験は初めてで、低コストの細胞移植治療につながる可能性があります。
 クローン病は、主に小腸や大腸に炎症や潰瘍が起き、腹痛や下痢、血便といった症状が出ます。医療費助成の対象となる指定難病で、国内の患者は約4万人。10歳代後半から30歳代前半に発症することが多く、免疫細胞の過剰な働きが一因とみられていますが、原因不明で根本的な治療法がありません。
 治験は、免疫や炎症を抑える薬が効かない患者が対象。来春以降、安全性を1年間調べ、有効性も評価します。並行して、骨髄移植後に免疫反応の異常で起きる急性移植片対宿主病(GVHD)への治験も進めます。
 研究チームの大西俊介・北大准教授(消化器内科)は、腸に炎症を起こしたラットに人の羊膜の間葉系幹細胞を注射し、炎症抑制などの効果をすでに確認しています。
 研究チームの山原研一・兵庫医科大准教授は、「安全性が確認できれば、製造販売の承認を目指す次の治験を始めたい」と話しています。
 間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪組織にも含まれ、骨髄から採取した細胞は、国内でもGVHDの治療で製品化され、クローン病も海外で治験が進んでいます。ただ、骨髄は骨の中から採取するため、提供者の体に負担をかけ、採取できる細胞の数も限られます。
 山原准教授によると、羊膜では、妊婦1人当たり数百万~数千万個の細胞が効率的に採取でき、提供者の負担も少ない利点があるといいます。

 2017年12月14日(木)

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