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■ダニ媒介脳炎ウイルス、北海道だけではなく全国に存在か 北海道大学などが調査 [健康ダイジェスト]

 北海道特有の病気と考えられてきた「ダニ媒介脳炎」という感染症について、北海道大学などの研究チームが調査を行ったところ、本州などでも野生のイノシシなどが原因となるウイルスに感染していた可能性があることがわかりました。
 研究チームは、ウイルスが全国に広く存在する恐れがあることを示す結果だとして、さらに詳しい調査を行うことにしています。
 国立感染症研究所によりますと、ダニ媒介脳炎は、ウイルスを持ったマダニにかまれることで発症するウイルス性の感染症で、重症化すると脳に炎症が起き、発症した患者の死亡率は約30%とされています。
 国内ではこれまでに4人の患者が確認されていますが、いずれも北海道に住んでいたことなどから、これまでは北海道特有の感染症と考えられてきました。
 北海道大学と国立感染症研究所の研究チームは、昨年までの過去16年間に愛媛県や京都府など西日本を中心とする19の府県で捕獲された野生のイノシシやクマ合わせて299頭から採取した血液サンプルを分析したところ、全体の13%余りに当たる合わせて40頭から、ダニ媒介脳炎のウイルスに感染した可能性を示す抗体が検出されたということです。
 抗体が検出されたのは10の府県の血液サンプルで、このうちイノシシについて都道府県別でみると、広島県で4頭中3頭、愛媛県で41頭中6頭、高知県で6頭中2頭でした。
 北海道大学の好井健太朗准教授は、「北海道からウイルスが拡大しているというよりも、本州に古くから存在することに今、気付いているということかもしれず、さらに精度を高めた調査を行っていきたい」と話しています。
 また、国立感染症研究所の林昌宏室長は、「原因不明の感染症にこうした病気が含まれている可能性もあり、実態の解明を進める必要がある」と話しています。
 ダニ媒介脳炎は、蚊が媒介する日本脳炎と同じ分類のフラビウイルスによる感染症で、フラビウイルスを持つマダニにかまれることで感染します。マダニは民家など人の管理の行き届いた場所には、ほとんどおらず、森林や沢に沿った斜面、牧草地などに生息。
 感染すると1週間から2週間程度の潜伏期の後、発熱や頭痛、それに筋肉痛などのインフルエンザのような症状が現れ、その後、症状はいったんなくなります。2日から3日ほどして脳に炎症が起きて、マヒやけいれん、知覚異常などの症状が出て死亡するケースもあり、発症した患者の死亡率は約30%とされています。
 有効な治療法はなく、患者は痛みや炎症を抑える対症療法を受けることになりますが、脳炎が起きた場合には回復してもおよそ半数の患者に手足のマヒなどの重い後遺症が残るということです。
 厚生労働省と北海道によりますと、国内では1993年以降、昨年8月と今年7月にいずれも北海道に住む40歳代と70歳代の男性が相次いで死亡するなど、北海道で合わせて4人の患者が確認されています。
 一方、同じフラビウイルスによる感染症は海外では知られており、ロシアからヨーロッパまで広い範囲で患者が確認されています。海外ではワクチンが製造されていて、感染前に接種することで感染や重症化を予防することが可能だとされています。

 2017年12月18日(月)

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