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■蛇紋岩に含まれる石綿で労災認定 肺がんの造園業男性、埼玉県 [健康ダイジェスト]

 庭石などに使われる蛇紋岩に含まれるアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんになったとして、埼玉県の造園業の男性(71歳)が4月、熊谷労働基準監督署から労災認定されていたことが26日、男性が加入する労働組合の発表で明らかになりました。厚生労働省によると、蛇紋岩に含まれるアスベストで労災認定されるケースは非常にまれといいます。
 労働組合「建設埼玉」によると、男性は1970~1982年ごろ、静岡、愛知県境の採石場で蛇紋岩を仕入れ、庭石として販売。電動工具で岩を削り、加工することもありました。1992~2005年にも埼玉県などで、造園の仕事で蛇紋岩を切断したことがありました。2015年春に、肺がんと診断されました。
 労災申請を受けた熊谷労基署が、手術で摘出した肺の組織を調べたところ、労災認定基準の数倍のアスベストが検出され、仕事が原因として労災認定に至りました。
 採石場などの現場では粉塵(ふんじん)が舞っていましたが、男性は蛇紋岩にアスベストが含まれているとは知らず、マスクは着用していなかったといいます。肺がんと診断された当初は石綿が原因とは思いもよらなかったものの、偶然、個人で加入していた建設埼玉から紹介された医師らに蛇紋岩についての知識があり、作業歴を丁寧にたどることができたため労災認定につながりました。
 資源エネルギー庁によると、蛇紋岩は北海道から九州まで広く分布し、2015年の採掘量は約2万6000トン。セメントや肥料の原料、石材などとして使われています。労働安全衛生法でアスベストの使用は禁じられていますが、蛇紋岩は規制されていません。厚生労働省は、建築現場の作業員らのための「アスベスト分析マニュアル」で、蛇紋岩にも石綿が含まれていることを記しているものの、その危険性が現場に浸透しているとは言い難く、どの程度吸入したら健康被害が出るのかも不明です。
 石綿を吸い込んだ場合、数十年の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんになる危険性があります。中皮腫の原因は石綿とほぼ特定できるため、診断の段階で労災や石綿健康被害救済法が適用されやすくなっています。一方、肺がんは喫煙など他の要因も考えられるため、患者や主治医が石綿が原因と疑わない場合も多く、中皮腫の2倍の患者がいるとの研究結果もあります。

 2017年12月27日(水)

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