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■世界初、振動波画像で乳がんを診断 群馬大が技術を開発 [健康ダイジェスト]

 群馬大学大学院理工学府(桐生市)の山越芳樹教授(医用工学)が、女性の乳腺に表面から機械的な振動波を与えて乳がんを画像診断し、患者の負担軽減が期待できる新しい技術を開発しました。国内の特許に加え、欧米で国際特許も出願している世界で初めての技術です。
 10月に台湾で開催された「世界超音波医学学術連合大会」で発表しました。すでに群馬大学病院(前橋市)で中島崇仁(たかひと)准教授が臨床評価を始めており、数年後の実用化を目指しています。
 乳がんの診断では、X線撮影による「マンモグラフィー」が一般的ですが、被ばくの問題や、乳腺の密度が高い高濃度乳房だと写った影はがん細胞なのか判別が難しい場合もある問題が指摘されています。
 新技術は、乳腺の表面から小型の加振器で周波数300Hz程度の振動波を与えて、乳腺内に伝わる振動波の様子を超音波(エコー)によって可視化し、小石を池に落とした際に水面に広がる波紋のような画像に約4秒間で映像化します。
 その波紋の状態に異常が現れているかによって組織の硬さが判断でき、硬いがん細胞なのか、単なるしこりなのかが形状を含めて診断できます。振動に伴う痛みはありません。
 新技術は、しこりの硬さなどを確認する「触診」や、乳房の中に医療器具を挿入して細胞を取り出し、がん細胞かを確認する診療を補強し、患者の負担軽減が期待できます。
 今年1月に開始した群馬大病院での臨床評価では、従来法に比べて乳がんが明瞭に画像化できるなどの成果が上がっているといいます。
 新技術は、一般的な開業医でも持っている通常の画像診断装置とパソコンが利用できるコストの安さが特長。健康診断にも有効活用できます。現在は乳腺に当てる小型加振器の開発に取り組んでいますが、技術的には難しくないといいます。
 新技術は将来的には、前立腺がんや甲状腺がんなどへの応用も期待できます。
 乳がんの死者数は世界で2012年に約50万人だったとの推計があり、国内では2016年に約1万4000人で、いずれも増加傾向にあります。
 山越教授は、「この技術を健診に有効活用し、乳がんの(死者を減らす)発見率向上につながってほしい。早期発見により、乳がんによる摘出手術も少なくなれば」と期待を込めています。

 2017年12月29日(金)

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