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■脊髄損傷の新薬治験、大阪大など開始へ サルでは抗体投与で機能回復 [健康ダイジェスト]

 脊髄損傷の治療を目指し、大阪大学などは今年から、新たに開発した薬を患者に投与する医師主導の臨床試験(治験)を開始します。まずは、背骨の中を走る脊髄の中枢神経ががん転移による圧迫で損傷し、手や脚が動かなくなった患者で安全性や効果を確認します。
 アメリカでも製薬会社による臨床試験が計画されており、外傷性の脊髄損傷の治療も含め、5年後の実用化を目指します。
 脊髄損傷は、事故などで脊髄の中枢神経が傷付き、手や脚がまひします。国内外で治療法の開発が進められていますが、まだ有効な治療法は確立していません。
 大阪大の山下俊英教授(神経科学)は、傷付いた神経の修復を妨げるRGMというタンパク質に着目。このタンパク質の働きを抑える「RGM抗体」を田辺三菱製薬(大阪市中央区)と共同開発しました。
 京都大学霊長類研究所で、重度の脊髄損傷を負った直後のニホンザルにヒト用のRGM抗体を投与したところ、4週間後にまひした手が動くようになりました。約3カ月後には小さな透き間に入った餌を指で取り出す細かい作業もこなすなど、損傷前に近い状態まで運動機能が回復したといいます。
 日本での臨床試験は、大阪国際がんセンター(大阪市中央区)で行います。がん転移でまひが出た患者5〜10人の血管にRGM抗体を注射し、約1年かけて安全性や効果を検証します。脊髄損傷の直後に治療を始めると効果が見込める一方、時間が経過した慢性期の患者にも効くかどうかや、どの程度の脊髄損傷まで治療の対象になるかは現段階では不明といいます。
 日本脊髄障害医学会の1990〜1992年の調査では、国内の脊髄損傷の患者は10万人以上で、新たな患者は毎年約5000人と推計しています。
 山下教授は、「ペンを握ったり、コップを持って水を飲んだり、つえで歩いたりできる程度まで、まひが回復するのでは、と期待している」と話しています。
 京都大の伊佐正教授(神経生理学)は、「サルなどの動物実験で慎重に効果が確認されており、人においても有望だと考えられる」と話しています。

 2018年1月8日(月)

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