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■厚労省、終末期医療のガイドライン改定へ 高齢の患者など本人の意思を尊重 [健康ダイジェスト]

 住み慣れた自宅で人生の最期を迎えたいという高齢者が多いことから、厚生労働省は、終末期の治療方法を選ぶ手順などを定めたガイドラインの改定案をまとめ、17日に開かれた専門家会議に提示しました。
 厚労省で開かれた医師や大学教授などの専門家を集めた会議では、病気や事故、老衰などで回復が見込めない高齢の患者などに対する終末期医療のガイドラインの改正案が提示されました。
 それによりますと、終末期医療では患者本人の意思を尊重して治療を進めることが最も重要だとした上で、主治医や看護師、家族、それに介護支援専門員や介護福祉士などとあらかじめ治療方法について話し合うことが必要だとしています。
 患者の意思は病状が進むにつれて変わる可能性があるほか、高齢者の場合は認知症などになって意思が伝えられなくなる可能性もあるため、繰り返し話し合い、そのつど内容を文書で残しておくこととしています。
 厚労省は11年前の2007年に終末期医療のガイドラインを作成していましたが、住み慣れた自宅で治療を受けるための手順が明確ではなかったため、今回、見直しを行いました。
 17日の専門家会議では、高齢者の中には身寄りがない人もいるため、日ごろ話し合う相手に家族だけでなく、「信頼できる人」も加えるべきだという意見が出ていました。
 厚労省は今年の3月末までにガイドラインを改定することにしており、自宅や福祉施設でも活用できるよう医療・介護業界などに対して周知します。
  今回のガイドラインの改定で柱となっているのは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)という取り組みです。人生の最期に自分がどこで、どのような治療を受けたいのか、それにどんなサポートを望んでいるのかを、家族や主治医などと繰り返し話し合うことです。元気なうちから話し合っておくことで、仮に認知症などになって自分の気持ちをうまく伝えられなくなっても、家族などが治療方法を決断する大きな助けになります。
 しかし、このアドバンス・ケア・プランニングを実践している人はごくわずかです。厚労省が2014年に行った調査によりますと、終末期医療についてあらかじめ自分の希望を書面などに残しておくことに賛成だと答えた人は70%に上りましたが、実際に自分の希望を家族と詳しく話し合ったり、書面に残したりしている人は、いずれもわずか3%にとどまっています。
 厚労省が今回、終末期医療のガイドラインを見直す理由の1つには、在宅医療を増やしていきたいという狙いもあります。
 2012年に内閣府が行った調査によりますと、「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」という質問に対し、自宅と答えた人が54・6%に上り、医療施設の27・7%や福祉施設の4・5%を大きく引き離して半数以上を占めました。
 ところが、実際は、2016年に亡くなった人の73・9%が病院で最期を迎え、自宅は13%にとどまっており、希望どおりに在宅医療を受けられない人が多くいます。
 厚労省が在宅医療を進める背景には、高齢化が進み、今後、亡くなる人が大幅に増える中で、病院の受け入れ体制が追い付かなくなるのではという懸念もあります。年間の死亡者は、2017年には戦後最多の134万4000人に上りましたが、ピーク時の2040年には166万人6000人余りまで増えると予測されています。
 また、今回の終末期医療のガイドラインの改定によって自宅での治療を選択する人が増えた場合は、在宅医療を手掛ける医師の確保も大きな課題となります。
 福井市でアドバンス・ケア・プランニングの取り組みを積極的に行って在宅医療を手掛ける紅谷浩之医師は、「患者が在宅医療を選びやすくするためには、訪問診療を行う医師を増やしていく必要があり、体制をどのように充実させていくかも検討が必要だ」と話しています。

 2018年1月18日(木)

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