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■病院のベッド、富山県など39道県で過剰 神奈川県や大阪府などでは不足 [健康ダイジェスト]

 日本の病院のベッド数が、必要な数を大幅に上回ることが明らかになりました。2016年のベッド数は、2025年に必要とされる予測より約5%多くなっています。都道府県別にみると、39道県が必要以上にベッドを抱えています。
 医療は供給過剰が不要な需要をつくる傾向があり、現状では医療費増に拍車がかかります。厳しい高齢化に備えて、病院にコスト感覚を徹底させるなどの転換が必要になります
 各都道府県が医療の将来像を示す「地域医療構想」と呼ぶリポートに記した2025年の必要なベッド(病床)数と、2016年7月のベッド数を集計して比較しました。
 地域医療構想は、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に向けて医療体制をつくる材料。必要なベッド数は、人口推計や年齢ごとの入院率などをもとに試算しています。
 2025年の必要数より実在のベッドが最も多かったのは富山県で、約29%。熊本県や山口県が28%前後で続きます。要削減率20%を超す13県のうち九州が5県を占めるなど、西日本が目立ちます。単純合算すると日本全体で2016年7月には125万床強で、2025年に必要とされる119万床より約5%多くなっています。ここ数年でも、ベッドの余剰は全体で膨らんでいます。
 ベッドが多い地域は、かつて産業振興に似た観点で病院づくりを進めた例もあります。入院の必要が低い患者を在宅医療へ移行し、医療機関やベッドを減らす取り組みへの転換が求められます。厚生労働省は供給過剰の解消へ知事の権限を強め、各地の判断でベッド数を管理しやすくします。ただ、削減には「医療がさらに遠のき、重症化につながる」といった医療関係者の強い抵抗が予想され、国全体の抜本策も欠かせません。
 国民医療費42兆円の4割を占める入院医療費は、医療財政のカギを握ります。ルールに沿った診療は国が代金を支払ってくれるので、普通の産業に比べると病院は規模を大きくしすぎて経営が失敗するリスクが小さく、放っておけば必要を上回る病院やベッドが生まれやすい特殊な産業といえます。ベッドが過剰になると病院は空きベッドを埋めようと、通院ですむ患者を入院させる動機が生まれる弊害も見逃せません。
 日本の医療体制の過剰ぶりは鮮明。人口1000人当たりのベッド数が約13床と、アメリカやイギリスの3床弱、フランスやドイツの6〜8床を大きく上回ります。平均在院日数は約30日におよび、10日以下の欧米各国と比べて突出しています。
 国が旗を振る地域医療構想では、患者の状態ごとに「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4区分それぞれで必要なベッド数をはじきます。今回の集計で、特に過剰感が強かったのが重症患者向けの急性期病床。高度急性期を含め今は全体の6割を占めますが、2025年は全体の45%で十分。
 神奈川県や埼玉県、東京都、千葉県、愛知県、京都府、大阪府、沖縄県など必要なベッド数に足りない地域もあり、全体を見渡した適切な配分が求められます。

 2018年3月1日(木)

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