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■日医工、エーザイ子会社買収 後発薬1位の座を固める [健康ダイジェスト]

 後発薬大手の日医工が新たなM&A(合併・買収)に踏み切り、新薬大手のエーザイの子会社エルメッドエーザイ(東京都豊島区)を約170億円で買収すると発表しました。薬価引き下げ圧力が強まり、競争環境が厳しさを増す中、さらなる規模拡大で収益の確保を図ります。
 沢井製薬や東和薬品を引き離して国内後発薬1位の座を固め、将来は世界トップ10入りを目指します。
 日医工の田村友一社長は28日、本社で開いた記者会見で「ジェネリック(後発)医薬品は規模で戦う時代だ」と強調しました。
 同社はまず4月に、エルメッドエーザイの株式の20%を取得。薬の成分となる原薬事業や販売促進の協業の成果を見ながら段階的に株式の取得を進め、2019年4月に完全子会社とする予定です。
 エルメッドエーザイは、高脂血症薬や降圧剤など約190品目の後発薬を扱います。2017年3月期の売上高は、前期比2%減の約280億円。競争が激しく、近年は業績が伸び悩んでいました。
 日医工によると、エルメッドエーザイの買収で国内シェアは約15・8%(2017年9月時点で計算)となり、沢井製薬をかわして1位の座を固めます。2021年3月期までには20%を目指します。両社を合わせると国内シェアが5割を超える品目が11あるため市場優位性が高まり、薬の原材料の共同購買で調達コスト低減も見込みます。
 日医工はこれまでも、後発薬事業を中心にM&Aを繰り返してきました。2004年にマルコ製薬の事業を引き継いだほか、2008年にはテイコクメディックス、2014年にはアステラス製薬子会社の工場を買収。2016年にはアメリカのセージェント・ファーマシューティカルズを買収しました。
 2004年11月期に182億円だった連結売上高は、2017年3月期で1633億円に増え、2018年3月期は2000億円を見込みます。
 規模拡大を急ぐ背景にあるのが、市場環境の変化。政府は後発薬シェアを2020年9月までに80%以上に高める目標を掲げる一方、膨張する医療費を抑えるため、これまで2年に1度だった薬価改定を2021年度から1年に1度へ改める方針です。田村社長はもともと安価な後発薬についても、「価格プレッシャーが増している」と危機感を示しています。
 後発薬事業からの撤退により事業を絞り込み、認知症などの新薬開発へ経営資源を集中させるエーザイとの戦略提携も進めます。2018年10月以降、エーザイが持つ「地域包括ケア」にかかわる医療機関や薬局向けの販路を生かし、日医工ブランドの製剤品を販売します。
 政府は介護から医療まで地域一体で高齢者らを支える地域包括ケア構想を進めており、この領域の需要開拓は製薬会社の共通課題です。田村社長は「他のジェネリックメーカーと違うアプローチができる」と期待しています。国内では珍しいケースとなる新薬大手と後発薬大手の連携効果を引き出します。
 今後の課題は、海外市場の開拓。国内首位の座を固める日医工も、世界の後発薬市場ではトップ10以内に入りません。国内市場の伸びが鈍る動きがみられる中、海外で新たなM&Aに踏み出す可能性もあります。

 2018年3月29日(木)

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