SSブログ

■京大、血液難病の臨床研究を厚労省に申請 iPS細胞から大量の血小板を製造 [健康ダイジェスト]

 京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之(こうじ )教授(血液学)らが患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いる血小板の再生医療の臨床研究計画を厚生労働省に届け出ていたことが19日、明らかになりました。他人の血小板を輸血できない血液の難病になった患者が対象。
 29日に厚労省が計画を審議する予定。iPS細胞による再生医療は目の網膜と心臓などに続いて、治療の対象が広がってきました。
 京大が近く、計画を公表します。江藤教授らは、再生不良性貧血などで出血を止める血小板をうまく作れない「血小板減少症」の再生医療を目指します。この病気は皮膚で内出血しやすく、鼻血などが止まりにくくなります。病気が進行すれば、内臓や脳で大量出血し命にかかわります。
 通常は血小板製剤を輸血し治療しますが、今回の計画はまれな血小板の型の患者1人が対象。すでに候補者がおり患者募集はしない予定です。血小板製剤は、型の不適合で免疫が排除するため治療に使えません。ES細胞(胚性幹細胞)や他人のiPS細胞から作製した血小板も使えません。
 このため臨床研究では、患者自身の血液から作ったiPS細胞を元に血小板を大量に育てて治療します。患者のiPS細胞から育てた血小板を3回にわけて徐々に量を増やしながら投与する計画で、最も量が多い3回目には血小板約1000億個を投与して、1~2年かけて安全性を確認します。
 実現すれば、患者自身のiPS細胞を使う計画は、神戸市にある理化学研究所などのチームが2014年に実施した目の難病に続き2例目となります。
 iPS再生医療は先行する目の網膜のほか、心臓、脳、角膜などの計画が続きます。これらの計画では他人の細胞を用いるものの、今回の患者では使えないため、患者自身から作製できるiPS細胞の強みが生かせます。
 臨床研究では、輸血する前に放射線を照射し、がんのもとになる危険な細胞が混ざり込むのを防ぎます。iPSによる再生医療では患者から高品質なiPS細胞を作製するコストが課題ですが、血小板は低コストで安全性を高めやすいとみられます。
 血小板は、手術やけがの治療などでも使用します。現在は、日本赤十字社が製造する血小板製剤を使っていますが、使用期限が4日で備蓄できません。今後、高齢化などで献血者が減るとともに血小板を必要とする人が増え、将来的に不足が深刻化することが懸念されています。
 江藤教授は、病気やケガの治療などに使う血小板を他人のiPS細胞から製造する研究開発も進めており、企業のメガカリオン(京都市)が今後、アメリカと日本国内で臨床試験(
治験)を始める計画を立てています

 2018年8月19日(日)

nice!(4)  コメント(0) 

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。