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■iPS細胞による角膜移植の臨床研究を申請、審査 大阪大学 [健康ダイジェスト]

 目の角膜が傷付いた患者にiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した角膜の組織を移植し、視力を回復させる臨床研究の計画を、大阪大学の研究チームが学内の委員会に申請し、初めての審査が行われました。承認されれば今後さらに国に申請し、今年度中に1例目の実施を目指したいとしています。
 この臨床研究は大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授(眼科学)などの研究チームが学内の専門家委員会に申請したもので、22日初めての審査が行われました。
 角膜は目の黒目の部分を覆う透明な膜で、病気やけがなどで傷付くと視力が低下し、症状が重い場合は亡くなった人から提供された角膜を移植する治療が行われています。一方で、アイバンクから提供される角膜は慢性的に不足しているため、約2000人の患者が移植の順番を待っています。
 今回の計画は移植しても拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞から角膜の基になる細胞を作り、直径3・5ミリ、厚さ0・05ミリの円形のシート状にして数人の患者に移植するもので、1年間かけて安全性や効果を検証するということです。
 研究チームによりますと、今回の審査では患者への説明文書の改善などを求める意見があって結論が出ずに、次の専門家委員会でさらに議論が行われるということで、学内の承認が得られればさらに国の審査をうけた上で、今年度中に1例目の手術の実施を目指したいとしています。
 西田教授は、「およそ10年かけて今回の手法を作り上げてきた。よりよい治療法を患者に届けるためにじっくりと計画を進めたい」と話しています。
 今回大阪大学の研究チームが目指すのは、目の黒目の部分を覆う角膜の最も表面の組織である「角膜上皮」の病気「角膜上皮幹細胞疲弊症」の治療です。
 角膜上皮は厚さ0・05ミリで、けがや病気によって角膜上皮を作り出す細胞が傷付くと組織の再生能力が失われ、移植による治療が必要となります。
 研究チームは一昨年、人のiPS細胞に特殊なタンパク質を加えて培養することで、目のさまざまな組織の基になる細胞を効率よく作ることに成功しており、これを基にシート状の細胞組織を作りました。
 シートには数百万個の細胞が含まれ、ウサギの目に移植した研究では拒絶反応などはみられなかったということです。
 研究チームでは、これまでも口の粘膜の細胞を基に角膜上皮シートを開発してきましたが、iPS細胞を使うことで、より高い効果が得られることが期待できるとしています。
 iPS細胞を使った臨床研究は、理化学研究所などが目の難病ですでに実施しています。大阪大学の別の研究チームが今年度中にも重い心臓病で行う準備を進めているほか、慶応大学が脊髄損傷などで学内の委員会に申請しました。また、京都大学はパーキンソン病で、臨床研究より実用化に近い段階で行う臨床試験(治験)の患者募集を始めています。

 2018年8月23日(木)

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