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■性別適合手術、ホルモン療法と併用は保険適用外 適用を求める声も [健康ダイジェスト]

 体の性と心の性が一致しない「性同一性障害(GID)」の治療として、子宮や精巣を摘出するなどの性別適合手術が、4月から公的医療保険の対象となり、手術代の自己負担が原則1~3割になりました。高額療養費制度の対象にもなり、一定の負担ですみます。
 GID学会理事長で岡山大学の中塚幹也教授(産婦人科)は10年ほど前から、厚生労働省に保険適用を要望し続けてきており、「やっと風穴が開いた」と喜んでいます。「就職前に性別を変えておきたい」と願う若者もいますが、経済的に余裕がなく、断念する人も多いといいます。手術代は医療機関ごとに異なるものの、岡山大学病院なら、女性から男性に体の性を変えるため乳房を切除し子宮や卵巣も摘出すると、入院費も含めて約140万円かかります。
 厚労省が方針を変えたのは、性的マイノリティーへの社会的認知が広がってきたことや、GIDの治療を手掛ける認定医が増えてきたことがあります。2015年にGID学会が治療の安全性を確保するために「診療実績が20人以上」などを要件に認定医制度を創設。2017年9月時点で10都道府県に計18人います。GID学会は2020年ごろまでに都道府県ごとに診療拠点をつくれるよう、認定医を50人程度養成したい考えです。
 しかし、性別適合手術と自由診療のホルモン療法を併用すると、保険が効かなくなります。専門家からはホルモン療法にも保険適用を求める声が出ています。
 四国に住む飲食店店長(38歳)は、女性という性別に違和感を持ちながら生活してきました。ただ、家族が理解してくれるのを待ち、治療はしてきませんでした。女性の制服を着る職業を避けるなど、できるだけストレスがかからないように暮らしてきました。
 だが、「40歳を前に、このまま治療せず後悔したくない」と考え、性ホルモン製剤を使い、心の性に体の性を近付けるホルモン療法を始めると昨年、決めました。
 いざ治療を開始しようとした時、2018年度から性別適合手術が保険適用になると知りました。ただし、ホルモン療法は自由診療のまま。ホルモン療法を受けてしまうと、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」となり、手術代も自己負担になってしまう、と医師から聞かされました。
 このため、ホルモン療法は後回しにし、岡山大学病院で8月中旬、まず保険が効く乳房切除手術から受けました。保険適用によって約60万円の費用は、約20万円に抑えられました。胸を押さえ付ける服を着る必要もなくなり、今後、ホルモン療法を始めるといいます。
 法務省などによると、これまでに国内で戸籍上の性別を変えた人は約7000人。半数以上はタイなど国外で性別適合手術を受けたと見込まれていいます。
 今年4月から性別適合手術が公的医療保険の対象となったといえど、すでにホルモン療法を受けている性同一性障害の人が大半とみられ、飲食店店長のように保険が効くケースはごく一部の人に限られます。
 岡山大の難波祐三郎・ジェンダーセンター長(形成外科)によると、卵巣や精巣をとったり、膣(ちつ)や陰茎をつくったりする手術では、手術後に継続的に使うことになる性ホルモン製剤によって、副作用などの問題が起きないか、あらかじめ使ってみて調べることが一般的。混合診療になってしまい、手術に保険が効かなくなるといいます。
 中塚教授は、「学会としても引き続き、ホルモン療法の保険適用に向けても訴えていきたい」としています。

 2018年8月29日(水)

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