SSブログ

■慶大病院、新規の不妊治療受け入れ停止 第三者からの精子提供が減少 [健康ダイジェスト]

 匿名で提供された第三者の精子を使った不妊治療について、国内の実施件数の約半数を行ってきた慶応大学病院が、必要な精子の量を確保できなくなったため、8月から新規患者の受け入れを停止したことが明らかになりました。
 第三者から匿名で提供された精子を使って人工授精する不妊治療は、病気で精子がないなどの理由で不妊となっている夫婦を対象に実施されており、慶大病院はこの治療を国内の実施件数の約半数に当たる年間1500件程度実施してきました。
 慶大病院では1年間に10人以上の男性から精子の提供を受けてこの不妊治療を実施してきましたが、昨年から精子を提供する人が少なくなり、今年は8月の時点で1人もいないということです。このため病院では8月に、この方法による不妊治療の新たな患者の受け入れを停止しました。
 この状況が続けば、1年後に治療そのものを続けられなくなる可能性があるとして、10月にも有識者を交えた会議を開き、どのように継続するか対策を検討することにしています。
 精子の提供を巡っては、生まれた子供が匿名の精子の提供者に関する情報の開示を求めるなど、「出自を知る権利」が広く認識されるようになり、匿名を希望する提供者側にためらいが広がっていることがあると慶大病院ではみています。
 国内では「出自を知る権利」は法律などで整備されておらず、慶大病院産婦人科の田中守教授は「1つの病院で対応するには限界があり、法律や制度を国が中心となって整備し、治療が続けられるようにしてほしい」と話しています。
 海外では、スウェーデンやオーストリアなどで「出自を知る権利」を認める法律が整備されています。日本では厚生労働省の部会で制度を整備すれば、15歳以上の子供が精子提供者の氏名や住所などの情報の開示を請求できるとした報告書をまとめているほか、この治療で生まれた人たちで作る団体が「出自を知る権利」を保障すべきだと活動するなど、広く認識されるようになってきていますが、法律や制度の整備は行われていません。
 一方、精子提供を巡っては、医療機関を介さず、インターネットなどを通じて個人的に精子の受け渡しを行うケースがあり、感染症の予防策が十分でないなど、医学的なリスクがあると指摘されています。
 慶大病院の田中教授はこのまま治療が続けられない場合、リスクのある精子のやり取りが行われる可能性があると指摘しています。そして、治療を継続するためにも、新たに「出自を知る権利」を尊重した公的な精子提供者の登録システムを検討すべきでないかとしています。

 2018年9月19日(水)

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。