SSブログ

■iPS移植医療、富士フイルムが初の企業治験へ 2019年に開始 [健康ダイジェスト]

 富士フイルムは2018年度にも、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った移植医療について臨床試験(治験)を国に申請します。白血病の治療に伴って重い合併症になった患者が対象で、2022年の製造・販売承認を目指します。
 iPS細胞の臨床応用は大学や研究機関などで進み始めましたが、富士フイルムは初の企業による治験を狙います。iPS移植医療は、薬や医療機器と同様に企業が事業化を目指す新たな段階に入ります。
 すでに、医薬品医療機器法(薬機法)に基づき、国の審査機関との事前交渉をほぼ終えました。治験は骨髄移植した人の約4割がかかる「急性移植片対宿主病」の患者数十人を対象に、2019年に始めます。皮膚炎や肝炎のほか、下痢や嘔吐(おうと)を繰り返し、命を落とすこともあります。国内では年間1000人ほどが発症し、欧米主要国も含めると1万人が発症します。
 富士フイルムが出資するオーストラリアのベンチャー、サイナータ・セラピューティクスがイギリスで治験を実施しており、途中段階で15人中14人で完治したり、症状が改善したりしています。国内治験はサイナータ・セラピューティクスのノウハウなどを引き継ぐ形で進めます。
 他人のiPS細胞から軟骨や脂肪などに変化する間葉系幹細胞という特殊な細胞を作製して患者に注射。移植した骨髄に含まれる免疫細胞が患者の体を攻撃するのを抑え、症状を改善させます。
 富士フイルムはアメリカでも治験を申請し、世界で実施する計画です。承認が得られれば、iPS細胞から間葉系幹細胞を量産し、製剤にして医療機関に販売します。間葉系幹細胞の移植は激しい下痢や血便の症状が出る潰瘍性大腸炎、動脈硬化や糖尿病がひどくなって発症する重症虚血肢、脳梗塞などの治療に効果が期待され、国内外で研究が進んでいます。
 iPS細胞を使った難病の治療では、理化学研究所などが目の難病患者への移植を実施し、大阪大学が重症の心不全患者への計画を進めています。また、京都大学が難病のパーキンソン病で医師主導の治験を始めました。
 企業による治験は、大日本住友製薬やベンチャー企業のヘリオスなども計画しています。企業治験が本格化すれば、iPS移植医療の実用化に向けた取り組みが一段と加速します。

 2018年9月23日(日)

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。