SSブログ

■患者1千万人の大人の耳鳴り、薬は効かず 学会が初の診療指針 [健康ダイジェスト]

 大人の10人に1人以上が抱えている「耳鳴り」の診療に関する国内初の指針案を日本聴覚医学会がまとめ18日、神戸市であった大会で概要を発表しました。耳鳴りの多くは薬による治療は効果がなく、カウンセリングを丁寧にして耳鳴りとうまく付き合えるように支援することの重要性を強調しています。
 耳鳴りは外に音源がないのに、自分の耳の中で音が聞こえる状態。アメリカの診療指針(2014年)では、耳鳴りの経験がある人は成人の10~15%とされ、日本には1000万人以上いるとみられます。ほとんどの場合は難聴を伴い、約20パーセントの人は苦痛を伴う耳鳴りがあるといわれています。ストレスや難聴、耳の病気のほか、原因がよくわからない場合もあります。多くは回復が難しく、症状を和らげながらうまく付き合うことが必要です。
 指針では、治療の際にまずカウンセリングをすることを推奨し、耳鳴りの原因や付き合い方を知ることで、患者が覚える不安や苦痛を軽くできる場合も少なくないと指摘しました。
 また、現状の受け止めや考え方を変えることで精神的な苦痛を緩和する認知行動療法も効果が高いとしました。耳鳴りを和らげるため、補聴器のような機器で別の音を流す音響療法や、難聴の場合は補聴器も効果があることを紹介しています。
 一方、向精神薬などの薬物療法や、栄養補助食品、頭部への磁気刺激は、効果の科学的根拠が十分検証されていないため、現時点では勧めないとしました。向精神薬は、抑うつや不安、不眠などの症状の緩和のために用いられるべきだと指摘しています。
 患者が適切な診療を受ける上での課題も盛り込み、心理療法士のいる耳鼻科が少ないことや、耳鳴りに対して適切な認知行動療法を身近な医療機関が提供できるような環境の整備が今後求められるとしています。
 指針案は来春、正式に公表されます。指針の研究開発班代表の小川郁・慶応大学教授(耳鼻咽喉〈いんこう〉科)は、「多くの耳鳴りは白髪などと同じで加齢とともに付き合うことになる。患者が現状を受け入れられるように医療機関に丁寧な説明が求められる」と話しています。

 2018年10月18日(木)

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。