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■トキソプラズマ症の妊婦用に初の保険適用薬登場 胎児の感染や重症化を防止 [健康ダイジェスト]

 妊婦が感染すると、胎児の脳や目に障害が出たり、流産や死産を引き起こしたりすることもあるトキソプラズマ症を対象に、妊婦が服用できる初の保険適用薬が9月に発売されました。胎児の感染や重症化を防ぐ効果があります。
 単細胞の原虫の一種であるトキソプラズマは世界中に存在し、人や動物、鳥に感染します。生肉や加熱が不十分な肉を食べたり、猫のフンが混じる土や水が誤って口に入ったりして、感染することがあります。
 通常は感染しても、ほとんど症状が出ません。ただ、妊婦が感染した場合は、血液中に流入したトキソプラズマが胎盤を介して胎児に感染する可能性があり、流産や死産になったり、胎児が知能障害、けいれん、まひ、水頭症、脈絡網膜炎などの視力障害を生じる先天性トキソプラズマ症を発症する可能性があります。
 国内では推計で年間約1000人の妊婦が新たに感染し、約100人の感染児が生まれます。このうち明らかな障害がみられる重症児は10人程度で、生まれてしばらくして症状が出ることもあります。
 国立感染症研究所寄生動物部室長の永宗喜三郎さんは、「妊娠中は火を十分に通した肉を食べ、野菜や果物はよく洗う。新たに猫を飼い始めないことも予防策として有効です」と話しています。
 妊婦を対象に、免疫の有無を調べる抗体検査の費用を公費助成する自治体も一部あります。採血で簡単に調べられ、妊婦健診を行う医療機関の半数程度で抗体検査を実施しています。
 東京都の会社員女性(40歳)は1月、妊娠を機に抗体検査を受けました。結果は陽性で、精密検査で妊娠6週ごろに感染したことがわかりました。新婚旅行で東南アジアに行っており、「サラダなどの生野菜が汚染されていたのかも」と振り返ります。
 海外ではスピラマイシンという薬で治療するのが一般的ですが、国内では当時まだ販売されていませんでした。女性は出産まで、同じ効果があるとされるアセチルスピラマイシンという抗菌薬を服用し、生まれた女児は幸い、感染を疑う症状もなく経過観察中です。
 ただ、この抗菌薬は別の感染症の薬として承認を受けており、トキソプラズマ症の治療に使うと保険が利かず、処方する医療機関も限られていました。日本産科婦人科学会は2011年、スピラマイシンの導入を厚生労働省に要望。これを受けて製薬企業が製造販売に向けて動き出し、保険適用が実現しました。
 服用方法は、妊娠中の感染またはその疑いがわかった時から、1日3回、2錠ずつを飲み続けます。海外の報告では、重症で生まれてくる赤ちゃんを8割以上減らす効果がありました。治療に保険が使えるようになり、抗体検査を受ける妊婦の増加が予想されます。
 ミューズレディスクリニック(埼玉県ふじみ野市)院長で産婦人科医の小島俊行さんは、「胎児へのうつりやすさや重症化のリスクは、妊婦が感染した時期で異なる。感染がわかったらまず正しい情報を得て対応することが大切。主治医の説明で不安が解消されない時は、診療経験が豊富な医師のカウンセリングを検討してほしい」と話しています。
 相談できる医療機関や感染予防の具体的な内容を知りたい時は、母子感染に関する専門医らの研究班(http://cmvtoxo.umin.jp/)や、患者会「トーチの会」(http://toxo-cmv.org/)のサイトが参考になります。

 2018年10月29日(月)

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