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■超高額「1回5000万円」の白血病新薬が承認間近に アメリカでは1回約1億円の眼病薬も出現 [健康ダイジェスト]

 本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大特別教授のノーベル医学・生理学賞受賞の決定を受けて、注目が集まるがん治療薬「オプジーボ」が、11月から3度目の値下げを実施します。当初は患者1人当たり年間3500万円かかる「超高額薬」として批判を浴びたものの、4分の1以下の価格に落ち着きます。
 一方、1回の投与で約5000万円の白血病治療薬の承認を間近に控え、アメリカでは1回約1億円の眼病薬も登場。政府は薬の費用と効果を薬価に反映させる議論を急ぎ、医療保険財政への危機に備える構えです。
 オプジーボは2014年、画期的な新薬として登場したものの、あまりに高額なため「医療保険財政を圧迫する」として非難されました。
 当初は皮膚がんの一種である「悪性黒色腫(メラノーマ)」が対象で、予想患者数は470人と予想されました。採算が取れるように100ミリグラム当たり約73万円、患者1人当たり年間3500万円と見積もられた経緯があります。
 適用範囲が拡大されると、「患者5万人が使うと年1兆7500億円かかる」との試算が明らかになり、財政破綻を避けるため2017年2月には緊急措置で半額に引き下げました。国内では現在、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、悪性リンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫の計7種類のがんを対象に使用が承認されています。
 薬価は原則2年に1度改定されていたものの、オプジーボの登場を契機に、対象患者が拡大して販売額が急増した薬は「新薬が保険適用される年4回の機会を活用して値下げする」などにルールを変更。ルールに沿い、オプジーボは11月から100ミリグラム当たり約17・4万円となり、当初から7割以上の値下げが決まりました。
 超高額薬はオプジーボにとどまらず、スイスの製薬大手ノバルティスの日本法人は今年4月、オプジーボと同様に次世代のがん治療薬として開発が進む「CAR-T細胞療法」の製造販売の承認を厚生労働省に申請し、年内にも承認される見通しです。
 この療法は、遺伝子組み換え技術を使い免疫細胞を活性化させるもので、若年性の白血病などに治療効果が確認されています。アメリカでは「キムリア」の製品名で昨年8月に承認され、ヨーロッパでも今年8月に承認を取得しました。ただアメリカでは、投与1回当たり47万5000ドル(約5300万円)。厚労省によると、日本での同薬の患者数は250人程度とみられ、市場規模を100億~200億円と見積もっています。
 そのほか、アメリカでは、投与1回当たり4200万円のリンパ腫治療薬「イエスカルタ」や、両眼への投与1回当たり1億円近くにもなる遺伝性網膜疾患の治療薬「ラクスターナ」も出現しています。
 厚労省の担当者は、新たな超高額薬の登場に「現在の薬価制度では対応が難しい」と懸念を示しています。遺伝子組み換えや細胞を改変するこうした「バイオ新薬」は、開発費が大きく膨れ上がり薬価に反映されているといいます。
 しかし、保険が適用されるため、患者の一般的負担は3割。大半は高額療養費制度が適用され、数千万円の薬でも自己負担は所得に応じて異なるものの年間100万円程度となり、残りは公費負担です。  
 医療保険財政への懸念から、厚労省は薬の費用がその効果に見合うか分析する「費用対効果」の手法について、来年度からの本格導入を目指しています。すでに2016年度に試行的に導入され、オプジーボなどが検討の対象になりました。
 10月10日に開かれた厚労省の社会保障審議会部会でも、キムリアなど超高額薬への対応の必要性を議論しましたが、「経済性で保険適用を判断するのは難しい」との意見も出ました。
 これに対し、10月9日に開かれた財務省の財政制度等審議会分科会では、「費用対効果評価の活用」を確認し、厚労省を牽制。日本医師会は「費用対効果を用いるべきでない」との立場を示すなど、関係機関の思惑が錯綜しています。

 2018年10月31日(水)

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