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■バス乗客の転倒事故、5年間で骨折などの重傷249件 60~90歳代の高齢者が8割超 [健康ダイジェスト]

 路線バスの乗客が運行中に転倒し、骨折などの重傷を負う事故が2017年度までの5年間で249件起きていることが、消費者庁のまとめで明らかになりました。高齢者が停発車などの際に転倒するケースが大半を占めます。
 低料金で広範囲の移動が可能な路線バスを利用する高齢者は多く、バス会社は対応に苦慮しています。
 「毎日バスを利用しているが、これまでに何度も転びそうになった」。11月12日、東京都文京区のバス停でバスを待っていた80歳代女性は、そう語気を強めます。女性はビル清掃の仕事に出勤するため、毎日路線バスを利用しています。「運転が荒くて転んで入院した知り合いもいる。運転手は高齢者の安全に気を配ってほしい」と訴えています。
 消費者安全法は、消費者が商品を使用したり、サービスを受けたりして重傷を負ったケースなどについて、事業者から連絡を受けた自治体などに、消費者庁への報告を義務付けています。
 消費者庁によると、報告を受けたバス乗車時の転倒事故は年間50件前後で推移し、2013~17年度で計249件。年齢の報告がないケースもあるものの、60~90歳代の乗客がけがを負ったケースは少なくとも8割を超えます。今年度も10月4日現在で26件の報告がありました。
 事故では、停発車時に転倒したり、前方の車が急ブレーキをかけた影響で転倒したりして、腰や足などの骨を折るケースが目立っています。国土交通省は、バス事業者に対し、高齢者の特性を踏まえた運転者教育や効果的な車内アナウンスの訓練などを求めています。しかし、東京都内のあるバス事業者は、「運転技術は運転手ごとで差があり、車内アナウンスを行わない運転手もいる。全員に教育を浸透させるのは難しい」と明かしています。
 年齢を理由に自動車の運転をやめる高齢者もいる中、路線バスは重要な交通手段であり、多くの自治体は高齢者のバス料金の補助制度を設けています。
 東京バス協会は、東京都の補助で都内の70歳以上の高齢者にシルバーパスを発行。住民税が非課税などの場合は年間1000円、それ以外は年間2万510円で都内の大半の路線バスと都営地下鉄などを利用できます。発行枚数は年々増え、2016年度は97万9984枚。都内の70歳以上のおよそ半数がシルバーパスを持つ計算です。
 東京都福祉保健局の担当者は、「高齢者の社会参加には必要な制度。転倒については事業者に具体的対策を取ってもらうしかない」と話しています。
 戸崎肇・首都大学東京特任教授(交通政策)は、「運転手は乗客が着席してから発車するのが原則だが、運行時間を守るために発車を急ぐケースもある。事故防止には、乗客全員が高齢者への理解を深め、声かけなどの対策を社会全体で考えていく必要がある。シルバーシートを増やしたり、車内のバリアフリー化を進めたりすることも重要だ」と指摘しています。

 2018年10月31日(水)

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