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■慶大病院、新規の不妊治療受け入れ中止 第三者からの精子提供が足りず [健康ダイジェスト]

 不妊治療として第三者が匿名で提供した精子で行う人工授精(AID)について、慶応大学病院は29日、新規の患者受け入れを当面中止することを確認しました。「出自を知る権利」の意識の高まりを背景に、精子の提供者(ドナー)確保が難しくなったためです。治療中の患者は凍結保存した精子で対応します。
 国内のAIDは同病院が半数を手掛けており、大きな影響を与えそうです。
 AIDは、無精子症などで精子提供を必要とする夫婦を対象とした不妊治療として、同病院が1948年に国内で初めて実施。全国で年3000件以上行われ、100人前後が誕生しています。実施数は同病院が最多で、2017年は1634件でした。
 同病院は、匿名の精子ドナーを年10人ほど確保してきました。だが、近年は「出自を知る権利」が重視され始め、AIDで生まれた子供が「遺伝上の父」を知ることを望んだ場合、ドナー情報を開示せざるを得なくなる可能性が高まっています。
 昨年6月、こうした経緯をドナーの同意書に明記して説明を始めたところ、精子の提供を見送るケースが相次ぎ、新たなドナーがゼロになりました。同病院は今年8月から、AIDの新規患者受け入れを見合わせ、存続を協議してきました。この日は外部の有識者も交えた会議で、新規患者受け入れ中止の方針を確認しました。
 国内でAIDを実施する医療機関は、匿名を前提に、募集方法も対象もそれぞれの裁量でドナーを確保してきました。「出自を知る権利」を法で定めるスウェーデンやオーストリアなどの国もあるものの、日本は民間任せで、しわ寄せが当事者に及んでいます。
 100人に1人という無精子症の男性とそのパートナーにとって、AIDは子供を授かる数少ない選択肢の一つ。治療を求めるカップルや生まれる子供が安心でき、ドナーの協力も得られやすい仕組みの具体化が差し迫った課題となっています。
 一方、精子提供を巡っては、医療機関を介さず、インターネットなどを通じて個人的に精子の受け渡しを行うケースがあり、感染症の予防策が十分でないなど、医学的なリスクがあると指摘されています。
 北川雄光・慶応大学病院長は、「国による法制化や学会によるガイドライン(指針)の確立が必要と考えており、今後、積極的な働き掛けをしていきたい」とコメントしました。

 2018年10月31日(水)

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