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■5時間未満と10時間以上の睡眠で認知症リスク上昇 九州大が高齢者で研究 [健康ダイジェスト]

 1日の睡眠時間が5時間未満の人や10時間以上の人は、5時間以上7時間未満の人に比べて認知症や死亡のリスクが高いことが、高齢者を対象にした研究で明らかになりました。
 これまでに行われたいくつかの研究では、睡眠時間が短い、または長いことが、死亡リスクの上昇と関係することが示唆されており、睡眠時間と認知障害の間にはU字形の関係があると報告する疫学研究もありました。しかし、東洋人における睡眠時間と認知症発症の関係は、十分に調べられていませんでした。
 そこで九州大学の小原知之氏らは、日本の高齢者を対象として、毎日の睡眠時間と認知症および死亡の関係を調べるために、日本を代表する大規模疫学研究である「久山町研究」のデータを分析しました。対象となったのは、福岡県糟屋郡久山町に暮らす60歳以上の高齢者で、登録時には認知症ではなかった1517人(男性667人、女性850人)です。
 登録時に自己申告された昼寝も含む1日の睡眠時間に基づいて、5時間未満(32人、平均年齢71・6歳、男性が50・1%)、5時間以上7時間未満(405人、68・9歳、33・2%)、7時間以上8時間未満(446人、69・1歳、40・2%)、8時間以上10時間未満(522人、70・8歳、51・0%)、10時間以上(92人、73・8歳、65・6%)の5群に分けました。
 最長10年の追跡期間中に、294人(男性110人、女性184人)が認知症を発症しました。うちアルツハイマー病は197人、血管性認知症は76人でした。死亡したのは282人でした。うち66人の死因は心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)で、108人はがん、42人は呼吸器感染症でした。
 睡眠時間が5時間以上7時間未満の高齢者を参照群として比較すると、年齢と性別を考慮した認知症の発症率と死亡率は、5時間未満の高齢者と10時間以上の高齢者で高くなっていました。BMI(体格指数)や高血圧、糖尿病、飲酒習慣、喫煙習慣なども考慮してそれぞれのリスクを算出したところ、睡眠時間が短い集団と長い集団におけるリスク上昇は明らかでした。
 5時間以上7時間未満の高齢者に比べ、睡眠時間が5時間未満の高齢者の認知症のリスクは2・64倍、あらゆる原因による死亡のリスクは2・29倍でした。同様に、睡眠時間が10時間以上の高齢者の認知症のリスクは2・23倍で、死亡のリスクは1・67倍でした。認知症のタイプがアルツハイマー病だった高齢者、血管性認知症だった高齢者を分けて、それらの発症と睡眠時間の関係を調べても、同様の関係が認められました。
 最後に、認知症と死亡のリスクに睡眠薬の使用が及ぼす影響について検討しました。睡眠時間は問わずに、睡眠薬を使用していた高齢者を1つのグループとして、睡眠時間が5時間以上7時間未満で睡眠薬を使用していなかった高齢者と比較したところ、認知症のリスクは1・66倍、死亡のリスクは1・83倍で、いずれも統計学的に有意なリスク上昇が認められました。
 今回得られた結果は、高齢者の認知症と死亡の予防において、適切な睡眠時間を維持することが重要であることを示唆しています。
 調査結果は、アメリカの老年病学会の雑誌「Journal of the American Geriatrics Society」(オンライン版)2018年6月6日号に報告されました。

 2018年11月6日(火)

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