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■iPS細胞で脊髄損傷治療、慶応大が承認 来夏にも臨床研究へ [健康ダイジェスト]

 事故などで脊髄を損傷し体が動かせなくなった患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経のもとになる細胞を移植し、体の機能の回復を目指す慶応大学の研究チームの臨床研究について、大学の委員会は大筋で了承しました。iPS細胞を脊髄損傷の患者に応用するのは世界でも初めてだということで、今後、国に申請するなど実施に向けた手続きが本格化します。
 脊髄損傷は、交通事故やスポーツの事故などで中枢神経である背骨の中の神経の太い束が傷付くことで手や足が動かなくなったり、感覚がまひしたりするもので、現在はリハビリなどが行われますが、有効な治療法は確立されていません。国内では、毎年約5000人が新たに脊髄損傷になり、患者数は10万人以上とされています。
 慶応大学の岡野栄之教授(生理学)と中村雅也教授(整形外科学)らの研究チームは、脊髄損傷の患者に人のiPS細胞から作製した神経のもとになる細胞、約200万個を移植する世界初の臨床研究を計画しています。
 移植された細胞が神経細胞に変化することにより、脳からの信号が伝わり、手や足が再び動かせるようになることを目指します。
 この臨床研究は昨年、大学の委員会に申請されて審査が続いていましたが、13日に開かれた委員会で大筋で認められたということです。
 大学の委員会では、来月にも正式に承認される見通しで、その後、国に申請して審査を受けるなど、実施に向けた手続きが本格化することになり、順調に進めば来夏にも臨床研究が始まります。
 臨床研究は、脊髄を損傷して2週間から4週間ほど経過した「亜急性期」といわれる段階の患者に対して行われます。京都大学で保管されている人のiPS細胞を使って神経のもとになる細胞を作製し、脊髄の損傷した部分に約200万個移植する計画です。そして、免疫抑制剤を使用して拒絶反応が起きないようにコントロールし、移植した細胞は神経細胞に変化することで脳からの信号が伝わるようになるということです。さらに、リハビリも取り入れることで、手足の運動機能などが回復することを目指します。
 研究チームではこれまで、脊髄を損傷したサルが歩けるように回復させる実験に成功したとしています。最初は最も効果が高いと期待されている亜急性期の患者を対象にしますが、効果が確認されれば将来的には脊髄損傷から何年も経過した慢性期の患者に対しても、効果が期待できないか検討することにしています。
 しかし、この臨床研究では、未熟な細胞を移植するため、細胞が腫瘍の原因となる恐れがあり、腫瘍ができるのをどのように抑えるかやMRIなどを使って腫瘍ができた場合に早く発見して対処することが適切にできるかなどの安全性の確認について慎重に行う必要があります。
 iPS細胞を使った再生医療は、神戸にある理化学研究所などの研究チームが重い目の病気の加齢黄斑変性の患者に実施しているほか、京都大学の研究チームが体が動かなくなる難病のパーキンソン病の患者にも行っています。  

 2018年11月14日(水)

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