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■認知症の人の3割、一般病院への入院時に身体拘束を経験 がん研究センター調査 [健康ダイジェスト]

 認知症の人が病気やけがの治療で一般の病院に入院した際、ほぼ3割が体を縛られるなどの拘束を受けていたとする全国調査結果を、国立がん研究センターと東京都医学総合研究所の研究チームがまとめました。拘束の主な理由は、入院中の事故防止でした。
 研究チームは、「認知症の高齢者は、身体拘束を受けると、症状が進んだり筋力が低下したりしやすい。不必要な拘束を減らす取り組みが求められる」と指摘しています。
 中西三春・東京都医学総合研究所主席研究員らは昨年、全国の一般病院(100床以上)3466施設に調査書を送り、937施設から有効回答を得ました。主に病気やけがの初期治療を行う急性期とリハビリなどを行う回復期の病院を対象としました。集中治療室(ICU)や、精神科病院は除外しました。
 集まったデータを分析したところ、認知症かその疑いがある入院患者2万3539人のうち、28%に当たる6579人が、拘束帯やひもなどを使った拘束を受けていました。ベッドの四方を柵で囲むだけのケースは含んでいません。こうした一般病院での実態は、これまでほとんど明らかになっていませんでした。
 身体拘束の内容(複数回答)は、「車いすに拘束帯などで固定」13%、「点滴チューブなどを抜かないよう(物をつかみにくい)ミトン型の手袋をつける」11%、「ベッドからの転落防止で患者の胴や手足を縛る」7%、「チューブを抜かないよう手足を縛る」5%、「徘徊(はいかい)防止で胴や手足を縛る」4%などでした。
 身体拘束は本来、意識が混乱した患者の生命や安全を守ることが目的。研究チームによると、医療現場では看護師らの人手が不足している上、安全管理の徹底を求める入院患者の家族などに配慮し、事故防止を最優先する意識が働く結果、他の対策を検討することなく、拘束を行いがちだといいます。
 精神科病院を除いた一般病院では、身体拘束の可否や範囲について定めた法律や規定はなく、医療現場の判断に委ねられています。一方、介護施設では、介護保険導入の際、身体拘束は原則、禁じられました。
 国内の認知症の人は、2012年の約462万人から2025年には約700万人に増えると推計されます。
 白澤政和・桜美林大学教授(老人福祉学)は、「人権に対する配慮の観点からも残念な数字だ。身体拘束を減らすため、病院は認知症の人に対する意識を変え、防止に向けた検討会の設置や、リスク管理のマニュアルづくりを進めるべきだ」と話しています。

 2018年11月19日(月)

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