SSブログ

■今年の梅毒患者、6000人に迫る 統計開始から20年間で最多 [健康ダイジェスト]

 性感染症の「梅毒」の患者数が11月11日までに6000人近くに迫り、国立感染症研究所が現在の方法で統計を取り始めた1999年以降の20年間で最も多くなったことが20日、明らかになりました。
 専門の医師は「不特定多数との性的な接触を避け、コンドームの使用など予防の意識を徹底してほしい」と呼び掛けています。
 梅毒は性的な接触などによってうつる細菌性の感染症で、発疹などの症状が出て、治療せずに放置すると血管が破裂したり、妊婦が感染すると子供に障害が残ったりする可能性があります。
 国立感染症研究所によりますと、11月11日までに全国の医療機関から報告があった今年の梅毒患者は5955人と、すでに昨年1年間を上回り、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降の20年間で最も多くなりました。
 都道府県別には、東京都で1508人、大阪府で1019人、愛知県で390人などと大都市圏で多くの患者が報告されています。
 梅毒の年間の患者数は1945年から1954年には20万人程度とされていましたが、ペニシリンなどの抗菌薬の普及で治療ができるようになると患者数は減少傾向を示し、1997年には報告された患者数が500人を下回りました。こうした状況は10年以上続きましたが、2010年以降再び増加に転じ、2013年には年間の患者の報告数が1228人と1000人を超えました。
 その後、2015年には2690人、2016年は4575人、2017年は5820人と急激に増えており、今年も6000人を超えるとみられています。
 増加の背景には、海外の流行地から日本を訪れる外国人観光客の増加や、交際相手などを手軽に探せるマッチングアプリの普及などで不特定多数の相手と性的な接触を持つ機会が増えていることがあるのではないかと専門家は指摘しています。
 梅毒は主に性的な接触により、スピロヘータ (梅毒トレポネーマ) と呼ばれる細菌に感染することで引き起こされる感染症です。感染してから6週間ほどは、一部の人を除いて、はっきりした症状が現れないことが多く、痛みなどの自覚症状もないのが特徴です。そして、感染から3カ月ほどで、体や手のひら、それに足の裏に「バラ疹」と呼ばれる赤い発疹や、のどの粘膜に乳白色の斑点が出るなどの症状がありますが、これも時間がたつと治まります。
 その後、感染から3年から10年ほど後に、顔や体にゴムのような腫瘍ができたり、血管の大動脈が破裂したりして、さらに症状が進むと、神経がまひして体が思うように動かせなくなることもあるということです。
 戦前には、死亡例も報告されていましたが、現在は抗菌薬で治療ができるため、ほとんどが完治し死亡する患者はほとんどいないということです。しかし、妊娠中の女性が感染すると、おなかの中の胎児に感染し、生まれる赤ちゃんに重い障害が残るケースもあります。
 感染して半年から2年程度は、細菌が患者の体内で増殖するため、ほかの人にうつすリスクが高く、予防の観点からも半年以内に治療を始めるのが重要だとされています。
 感染の防止には、不特定多数の人との性的な接触を避けるほか、コンドームを正しく使うこと、さらに、新しい相手と交際を始める時や結婚する時、妊娠を考える時など、節目ごとに互いが梅毒の検査をする「節目検診」も予防には効果的だといいます。
 東京都新宿区で性感染症の診療に当たる「プライベートケアクリニック東京」院長の尾上(おのえ)泰彦医師は、「梅毒は最初は自覚症状がなく、感染したことに気付にくいのが特徴だ。検査でわかりさえすれば治る感染症なので、痛みを伴わない発疹などの症状に気付いたら、皮膚科のほかに泌尿器科や婦人科など、梅毒について知識と経験の豊富な専門の医師を、速やかに受診してほしい」と話しています。

 2018年11月20日(火)

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。