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■医学部の「地域枠」、22大学で欠員2割を超す 厚労省が公表 [健康ダイジェスト]

 地方の医師不足を解消するため大学卒業後に特定の地域での勤務を義務付ける医学部の「地域枠」を巡り、2018年度に約30大学の定員が埋まらなかった問題で、このうち22大学は2割を超える定員割れを起こしていたことが、文部科学省と厚生労働省の調査で明らかになりました。
 医学部の地域枠は、医師不足に悩む都道府県が奨学金を出し、返済を免除する代わりに卒業後の数年間、指定する地域や診療科での勤務を義務付ける仕組みです。
 大学によっては、複数の都道府県で地域枠を設けています。文科省と厚労省はこの地域枠の学生数を初めて調査し、28日開かれた厚労省の専門家会議で結果を公表しました。
 それによりますと、今年度の入試では、合わせて22の大学が23の府県で設けている地域枠で、2割以上の欠員が生じていました。
 このうち国立大学は千葉大学の千葉県、東北大学の宮城県など12の大学の地域枠で、2割以上の欠員が生じていました。私立大学は近畿大学の静岡県、大阪府、奈良県、和歌山県など10の大学の地域枠で、2割以上の欠員が生じていました。
 多くのケースで地域枠と一般枠を区別せずに入学試験を行い、入学後などに希望者を募る方式を採ったため、定員に達しなかったということです。最多は千葉大学の17人、次いで信州大学と東北大学の16人、近畿大学の15人、筑波大学の13人、山形大学と長崎大学の12人と続き、22大学では計161人に上ります。
 国が定員を決める医学部では、10年前から地域枠を設けた大学は臨時で定員を増やせるようになりましたが、その欠員ぶんは一般枠の学生などが入学していたということです。
 厚労省は、本来の機能を十分に果たしていないとして、全国の大学に対して、一般枠と区別して入学試験を行うなど改善を求めています。
 一方、地域枠に欠員が生じている県からは、改善を求める声が上がっています。奈良県では、奈良県立医科大学に13人、近畿大学に2人の地域枠を設けていますが、近畿大学の枠が過去9年間の入試で定員に達したのは2回しかありません。奈良県福祉医療部の林修一郎部長は、「地域枠が埋まれば将来県内で必要な診療科の医師が増えることになるが、そういう効果が得られていないのは残念だ」と話しています。
 近畿大学では、地域枠のぶん、医学部の定員が臨時で増えていますが、大学によりますと欠員のぶんは一般の学生が埋める形で入学しているということです。これについて奈良県の林部長は、「奈良のための枠が都会の医師を増やすために使われてしまっている。国からもらった非常に貴重な医学部の定員枠なので、しっかりと地域医療に役立つ形で使っていきたいし、そうした責任があると思う」と話しています。
 国立大学で最も欠員の多かった千葉大学は、「学生が入学してから地域枠の希望者を募っていた。2020年度以降は地域枠の入試を別枠で行うことを検討している」としています。
 次いで欠員の多かった東北大学は、「3年生になった時に地域枠の希望者を募っていた。地域枠と同じ役割を果たす別の制度を設けていて、一定の確保ができていると考えているが、今後の対応を検討したい」としています。
 また、私立大学で最も欠員の多かった近畿大学は、「一般枠と同じ入試を行い、出願の際に地域枠の希望者を募集したが、その多くが合格点に達しなかった。今後は国の指導のもと、地域枠の学生の確保に努めたい」としています。
 厚労省の専門家会議のメンバーで、日本医師会の今村聡副会長は、「地域枠の入試は一般入試とは別枠で行われ定員に達しているものだと思っていたので、今回の調査結果は衝撃だった」と話しました。地域枠の合格者が抑えられた理由については、「地域枠の希望者の学力が相対的に低くなることを大学側が不安視したのではないか」と指摘した上で、「地域枠の入試を別枠で行っても極端に学力が下がるとは思えず、本来の趣旨に即した入試にしてほしい。国も、大学任せにせず、地域枠の運用の在り方をチェックするべきだ」と述べました。

 2018年11月28日(水)

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