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■iPS細胞応用、慢性期の脊髄損傷回復 慶応大がマウスで成功 [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、脊髄を損傷してから時間がたった慢性期のマウスを治療する実験に成功したと、岡野栄之(ひでゆき)慶応大教授(生理学)らの研究チームが11月30日、発表しました。
 論文が29日付で、アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」(電子版)に掲載されました。損傷部位の周辺に細胞を移植すると、リハビリをしなくても運動機能が一部改善したといいます。
 研究チームは、脊髄の損傷で後ろ脚が動かなくなって42日目のマウスを使用。人のiPS細胞から神経の元になる細胞を作り、その細胞にアルツハイマー病治療薬として開発された化合物「γセクレターゼ阻害剤(GSI)」を加えた後、約50万個をマウスに移植しました。GSIは神経細胞の成長を促すといい、移植した細胞は約1・5割が神経細胞に変化し、移植後56日でマウスは後ろ脚で体をある程度支えられるようになるまでに機能が回復しました。
 研究チームによると、細胞移植の治療のみで慢性期の回復が確認されたのは世界で初めて。
 脊髄損傷は交通事故やスポーツ中のけがなどで脊髄が損傷し、脳と体をつなぐ神経が傷付き手足のまひなどが起きます。
 研究チームは脊髄損傷から2~4週間の患者を対象に、iPS細胞で治療する臨床研究を年内にも国に申請する予定。一方、国内に15万人以上いるとされる慢性期の患者については、損傷部位の周囲にかさぶた状の組織ができるなどの理由で、治療法の開発が困難でした。
 岡野教授は、「慢性期はリハビリは難しく、細胞移植だけで効果があったのはよかった。しかし、まだマウスの段階なので知見を積み重ね、治療につなげていきたい」と話しています。
 大阪大の山下俊英教授(神経科学)は、「マウスの実験で慢性期の機能回復を促せる手法が開発できたというのは画期的だ」と話しています。

 2018年12月1日(土)

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