SSブログ

■がん免疫薬「キイトルーダ」を全臓器に承認 一部の遺伝子異常に [健康ダイジェスト]

 免疫の力を使ってがんを攻撃できるようにするオプジーボと同様の作用をするMSD(東京都千代田区)のがん治療薬「キイトルーダ(一般名・ペムブロリズマブ)」について、厚生労働省は21日、遺伝子検査で薬が効くとわかれば、血液がんを除く成人のすべてのがんで使うことを正式に承認しました。
 がん治療薬は、肺や胃、大腸など臓器の種類を基本に使用範囲が認められてきました。今回のような臓器にかかわらず、特定の遺伝子変異を原因とするがんの治療薬として承認されたのは初めてで、患者が少ない部位のがんでも、早く薬が使えるようになると期待されています。 
 今回の使用拡大は、がん細胞の遺伝子の修復にかかわる別の遺伝子に変異があるタイプ。このタイプの患者は、大腸がんでは6%おり、胃や前立腺などのがんでもよくみられるといいます。キイトルーダが使えるようになるのは、がん関連遺伝子を網羅的に調べる遺伝子検査でこのタイプとわかった患者のうち、進行・再発がんでほかに治療法がなくなった人に限られます。
 キイトルーダは現在、悪性黒色腫や肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんのいずれも、一部に対し承認されています。肺がんの治療に使う場合、年間の薬剤費は約1200万円。免疫の力を使ってがんを攻撃できるようにする免疫チェックポイント阻害剤の一種で、一部の患者に高い効果がみられるものの、その割合は2割程度とされます。そのため、効果が事前に予測できる指標が求められてきました。
 今回の指標は、がん細胞の遺伝子検査をして、傷付いた遺伝子がどの程度修復できるかをみる「マイクロサテライト不安定性(MSI)」。MSIが高いと修復機能が低く、キイトルーダの効果が高い可能性があるといいます。
 細胞は、遺伝子の傷が積み重なって、がん化します。MSIが高いと遺伝子変異数も多く、腫瘍(しゅよう)の中に免疫にとってがんの目印になる物質も多く、免疫チェックポイント阻害剤が効きやすいとされます。
 アメリカの研究では、MSIが高い患者にキイトルーダを使うと、がんが進行しない人も含めると7割以上の患者に効果があったといいます。MSIが高い患者は固形がん全体で約3%。子宮がんや大腸がん、胃がんに多いとされます。
 国立がん研究センター東病院の吉野孝之医師(消化管内科)は、「臓器別ではないがん治療薬の開発が進んでいる。臓器別に治療方針を立てる時代から、臓器を超えて治療する新しいがん治療の幕開けになる」と話しています。

 2018年12月23日(日)

nice!(2)  コメント(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。