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■出生前診断、10年で2・4倍に急増 2016年は7万件実施 [健康ダイジェスト]

 出産前に胎児の染色体異常などを調べる出生前診断の国内実施件数が、この10年間で2・4倍に急増したことが、国立成育医療研究センターなどの研究チームの調査で28日までに判明しました。直近の2016年は約7万件と推定され、35歳以上の高年妊婦に限れば4分の1が受けている計算になります。
 診断で異常が確定すると大半が中絶を選ぶため、「命の選別」につながるとの懸念も強く、慎重な実施が求められてきましたが、普及が急速に進んでいる実態が浮かび上がりました。
 国内の出生前診断は登録制度がなく、実施件数や施設数は把握されていません。研究チームは、医療機関が採取した母親の血液などを調べる解析施設への調査などから、母体血清マーカー検査、新型出生前診断(NIPT)、羊水検査、絨毛(じゅうもう)検査の総数を推計しました。
 調査によると、2006年の実施件数は約2万9300件で、全出生数に対する割合は2・7%、高年妊婦に限れば15・2%でした。これに対し、2016年の実施件数は約7万件で全出生数の7・2%、高年妊婦では25・1%と大きく伸びていました。
 検査別では、母親の血液中の成分から胎児の染色体異常などを調べる母体血清マーカー検査が2006年の約1万7500件に対し、2016年は約3万5900件と倍増しました。母親の血液に含まれる胎児のDNA断片から比較的精度よく調べられる新型出生前診断は、日本産科婦人科学会の指針に基づく臨床研究の形で導入された2013年から増え続け、2016年は共同研究組織の登録分だけで1万3628件でした。だが、海外の業者と提携して新型出生前診断を提供するなど、近年問題化している無認可施設の実施件数は含まれておらず、実数はさらに多いとみられます。
 羊水検査は2006年の1万1703件から、2016年は1万8600件に伸びたものの、新型出生前診断の導入以降は減少傾向となっています。検査可能な施設数は羊水検査が876施設、母体血清マーカー検査が1509施設と推定しました。
 日本産科婦人科学会は新型出生前診断の実施施設拡大を視野に、指針の見直しを検討しています。
 出生前診断は生まれる前に胎児に障害や病気がないか調べる検査の総称で、その種類によって、受けられる時期、検査対象、正確さ、費用が大きく異なります。羊水検査と絨毛検査は精度が100%ですが、妊婦の腹部に針を刺すため流産の恐れがあります。母体血清マーカー検査と新型出生前診断は母親の血液から調べられ、手軽なのが特徴。新型出生前診断のほうが精度(陽性的中率)は平均89%と高いものの、ともに検査結果を確定するためには羊水検査などを受ける必要があります。
 国立成育医療研究センターの佐々木愛子医師(周産期医学)は、「遺伝の専門家の意見を聞いて、倫理的なことも含めてよく考えて検査するか決めてほしい」と話しています。

 2018年12月30日(日)

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