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■安く早く酔えるストロング系缶チューハイに人気 アルコール依存症に陥るリスクも [健康ダイジェスト]

 スーパーやコンビニで売られる缶チューハイは1缶100円程度と手軽で、年末年始の家飲みでも主役となりそうです。元来は低アルコール飲料として人気を集めましたが、近年はアルコール度数7~9%と高めのストロング系が、「安く、早く酔える」と支持されています。その一方で、気軽なイメージで飲みすぎてしまうリスクに、専門家は警鐘を鳴らしています。
 缶チューハイやハイボール、カクテルなどは、RTD(Ready to drink、炭酸水などで割らずにすぐ飲める酒)と呼ばれ、ここ20年、市場が拡大しています。中でも人気を引っ張っているのが、アルコール度数4度~7度が一般的だった缶チューハイのストロング系商品。調査会社インテージによると、2017年のRTD市場売り上げの半分強をストロング系が占め、4年前の2倍近くになりました。現在の主流は9%で、今年はワインの度数に匹敵する12%のチューハイも発売されました。
 切っ掛けとなったのは、キリンビール(東京都中野区)が2008年に発売したアルコール度数8%の「氷結 ストロング」。同社マーケティング本部の名郷根宗(なごうねたかし)さんは、「2008年はサブプライムローン問題やリーマン・ショックの影響で、国内でも節約志向が強かった。1缶で飲みごたえがあり、缶ビールの約半額というお得感が時代のニーズをとらえた」と話しています。
 実際、同社が2017年に「缶チューハイを購入する時の選び方」について300人に複数回答でアンケートを行ったところ、「よりコストパフォーマンスがよいもの」と答えた人が66%でした。
 国内で缶チューハイの先駆けとなったのは、1984年に宝酒造(京都市下京区)が発売した「タカラcanチューハイ」。酒類の消費動向などを調査し、専門誌を発行する酒文化研究所(東京都千代田区)の山田聡昭(としあき)さんは、「街の酒場でのチューハイブームを受けて作られ、辛口テイスト。焼酎ベースで、中高年男性の酒というイメージだった」と振り返っています。
 イメージががらりと変わったのは2000年代。ビール各社が参入し、ベースを焼酎からウオツカなどに変更。アルコール度数は5%前後で果汁感も強め、女性も手に取りやすいよう缶デザインにもこだわり、愛好者の裾野が広がりました。
 大手メーカーによるビール類の総出荷量は13年連続で減少しており、各社はチューハイなどのRTDに一段と力を入れています。酒文化研究所の山田さんは、「ブドウや米から時間をかけて作るワインや日本酒などと異なり、原酒と香料などの組み合わせで作るRTDは商品開発がしやすい」とメーカーの利点も指摘しています。
 果汁感の強さや炭酸の爽快感、カラフルな缶のデザインで「軽い酒」とイメージしがちな缶チューハイ。しかし、ベースは焼酎やウオツカなどで、ストロング系となると度数は7%以上です。9%のチューハイ(350ミリリットル)の純アルコールは約25グラムで、厚生労働省が1日の「節度ある適度な飲酒」の量とする「純アルコール20グラム程度」を1缶で超えてしまいます。
 アルコール専門外来がある「慈友クリニック」(東京都新宿区)の中田千尋院長は、「近年、アルコール依存症と診断される患者さんの多くに、ストロング系がかかわっている印象を受ける」と話しています。
 以前は、患者が「よく飲む酒」としてカップ酒やペットボトル入り焼酎が挙がりましたが、今はストロング系缶チューハイを何缶も飲んでいると話すケースが急増。また、一般的な350ミリリットルではなく、ロング缶と呼ばれる500ミリリットルを選んでいる人が多いといいます。
 慈友クリニックでは、「1人で時間の切れ目なく酒を飲む日が、連続2日以上あること」をアルコール依存症の診断基準の一つとしています。中田院長は、「低価格でどこでも手軽に買えるチューハイなどが、絶え間ない飲酒を招く恐れがある」と指摘しています。
 特に、女性は注意が必要になります。RTDはレモン・グレープフルーツ・桃・ぶどう・オレンジなどの果汁感が強く爽快感があるものや、甘めのものを各社が競って発売しており、男性よりも女性に高い人気を呼んでいます。「個人差もあるが、男性と比較し、女性の代謝能力は約半分。十分注意してほしい」と中田院長。
 アルコール依存症の治療で知られる国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)によると、アルコールの分解は、肝臓・心臓・筋肉などの働きに左右されます。女性は、一般的に男性よりも体が小さく、肝臓のサイズも比例することや、体脂肪が多い分、筋肉量が少ないので、分解にも時間がかかりやすいといいます。
 NPO法人「ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)」では、女性をターゲットにしたアルコール商品のCMや、缶ラベルに果物などをあしらい、清涼飲料のような印象を招くパッケージデザインについて、酒類メーカーに改善を求めています。
 中田院長は、「早く酔いたいと、より高い度数を選ぶことが習慣化している人は注意してほしい」と呼び掛け、含まれるアルコール量についての知識を持つよう訴えています。

 2019年1月1日(火)

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