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■頭頸部のがん治療にiPS細胞を投与 理研と千葉大が年内にも治験開始へ [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から特殊な免疫細胞を作り、顔や首にできる「頭頸部(とうけいぶ)がん」の患者に投与する臨床試験(治験)を、理化学研究所と千葉大学の研究チームが年内にも始める計画であることが明らかになりました。
 免疫力を高めてがん細胞の縮小を目指す治療法で、iPS細胞を使ったがん治療の治験は国内では例がないといいます。
 頭頸部がんは、鼻や口、喉、あご、耳などにできるがんの総称で、日本ではがん全体の5%程度を占めます。進行した頭頸部がんでは現在、抗がん剤と放射線を組み合わせた治療が主に行われていますが、患者の半数は再発するとされ、新たな治療法が求められているといいます。
 治験を計画しているのは、理研生命医科学研究センターの古関明彦・副センター長、千葉大の岡本美孝・教授(頭頸部腫瘍学)らの研究チーム。計画では、健康な人のiPS細胞から免疫細胞の一種「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」を作製。この細胞をがん患部につながる血管に注入します。対象は手術などが困難な再発患者3人で、最初に3000万個を注入し、副作用などを見ながら細胞数を変えて計3回投与します。2年かけて安全性や効果を調べる予定。
 NKT細胞は、自らがん細胞を攻撃する上、他の免疫細胞を活性化する働きを持つとされます。頭頸部がんの患者自身のNKT細胞を培養し、患者に戻す千葉大の臨床研究では、1回の投与でがん細胞が最大3~4割縮小したといいます。しかし、NKT細胞は血液中に0・1%程度しかなく、培養にも時間がかかるため、繰り返し培養して投与するのは難しいという課題がありました。
 こうした課題を解決するため、研究チームは無限に増えるiPS細胞に着目。人の血液からNKT細胞を採取し、いったんiPS細胞にして大量に増やした後、再びNKT細胞に戻す方法を開発しました。この細胞をマウスに投与した結果、がんの増殖が抑えられました。今回の治験で安全性に問題がなければ、有効性を調べる治験に移ります。肺がん治療への応用も検討しています。
 日本がん免疫学会理事長の河上裕・慶応大教授は、「NKT細胞はがんを攻撃する他の免疫細胞を誘導する可能性も報告されており、腫瘍が縮小するだけでなく、生存期間も延びれば、有効な治療法となり得る」と話しています。

 2019年1月10日(木)

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