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■インフルエンザ薬の勢力図一変し、塩野義が台頭 「ゾフルーザ」の国内シェア47%に [健康ダイジェスト]

 インフルエンザが猛威を振るう中、塩野義製薬が2018年3月に発売した抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」が国内市場を席巻しています。「1回飲むだけ」の手軽さから人気が過熱し、2018年10~12月の国内の数量シェアは47%を占めました。
 世界の大手製薬会社が「素通り」する感染症分野にこだわってきた成果が出ました。一方で、耐性ウイルス問題も浮上し、国内製薬大手で唯一、感染症を表看板に掲げる塩野義の持続力が試されています。
 「小さな錠剤で飲みやすかった」と、ゾフルーザを服用した東京都内の男性会社員(40歳)は手軽さに驚いています。ウイルスの増殖を防ぐ薬剤の血中濃度を長時間保てるため、12歳以上は錠剤を1度飲むだけで服薬は終わりです。粉状の薬を吸引する第一三共の「イナビル」や、1日2回、5日間飲み続けるスイスの製薬大手ロシュの「タミフル」と比べ患者の負担は小さくなります。
 医薬品卸が医療機関に販売した抗インフルエンザ薬の数量実績を基に各製品のシェアを集計したところ、3カ月で供給された計347万人分のうち、ゾフルーザが47%でトップ。2位がイナビル(18%)で、タミフル(17%)、沢井製薬のタミフル後発品(12%)と続きました。これまでタミフルとイナビルが市場をほぼ二分していた状況が一変しました。
 抗インフルエンザ薬市場で塩野義は新参者ながら、感染症の研究開発を半世紀以上続けてきた自負があります。1959年に初の自社抗菌薬「シノミン」を発売。これに着目したロシュが世界で販売して塩野義の業績を支え、その後も感染症薬を生み出してきました。
 1988年に新たに研究所を設立し、抗エイズウイルス(HIV)薬の研究を開始。抗菌薬しか扱ってこなかった塩野義が、異なる仕組みや大きさを持つ「ウイルス」の知見を培ったことが、ゾフルーザ誕生につながりました。
 業績への貢献も大きく、ゾフルーザの2018年4~12月期の売上高は99億円と塩野義の国内医療用医薬品で2番目の大型製品に浮上し、通期は130億円を見込んでいます。
 想定を上回る需要に対応し、塩野義は年明けから土日も含む24時間フル生産を続けています。800万人分を生産する計画でしたが、一段の増産の検討に入りました。供給が間に合わず出荷量を調整し、一部で品切れも発生。大阪市内の開業医は、「残り3人分しかない。追加注文したいがどの卸にも在庫がない」と話しています。
 塩野義は現在の錠剤に加えて、粉薬(顆粒=かりゅう)の承認も申請中で、予防投与の承認取得も目指しています。さらに、昨年11月には提携先のロシュがアメリカでの販売を開始。塩野義には、ロシュの販売量に応じてロイヤルティー収入なども入る見通しです。
 順風に見えるものの、リスクも浮上しています。1月24日、国立感染症研究所の調査でゾフルーザを服用した2人の小児患者から、薬が効きにくくなる耐性ウイルスが検出されたことが判明しました。耐性ウイルスが発生しやすいことは臨床試験でわかり国際学会でも説明はしていましたが、関東のある医師は「塩野義はもっと詳細に国内の医療現場に説明すべきだった」と話しています。
 医師が処方を控える動きも広がっている模様で、けいゆう病院(横浜市)小児科で感染症を専門とする菅谷憲夫医師は、「外来でどんどん使うのではなく、既存薬で抑えられない時の選択肢にすべきだ」と懸念しています。需要急増はいったん落ち着く可能性も出てきました。

 2019年2月5日(火)

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