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■2種類のインフルエンザウイルスが同時流行 1シーズン2回感染も [健康ダイジェスト]

 今年1月に過去20年で最多を更新したインフルエンザの患者数はようやく減少に転じましたが、流行は依然続いています。A型の2種類のウイルスが同時流行したことで感染者を増やしたとみられ、専門家は「今はA型の中でも高齢者が重症化しやすいA香港型が優勢になっており、流行のピークを越えても十分に警戒を」と呼び掛けています。
 「ひと冬にA型に2回かかることがあるんですか?」。長女(5歳)の感染を疑い、かかりつけ医を受診した大阪市内の女性(34歳)は4日夜、検査結果を聞いて耳を疑いました。長女はつい1カ月前にもインフルエンザの「A型」と診断されていたからです。
 女性は「可能性はあると聞いていたが、まさか我が家で起きるとは」と驚き、診察した冨吉医院(同市阿倍野区)の冨吉泰夫院長は「あまりないケースのはずだが、今季は同様の患者がほかにもいる。1度かかった人も油断せず、人混みをなるべく避け、手洗いを徹底してほしい」と話しています。
 国内で流行するA型には、2つのタイプがあります。1つは2009年に新型インフルエンザとして世界で大流行した「H1N1型」、もう1つは1968年以降、流行を続ける「A香港型」。このほかB型も、2種類あります。
 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、「今季はA型の2つが勢いよく広がっており、流行の規模を大きくしている」と分析しています。
 ここ数年でみると、2014~2015年はA香港型、2015~2016年はH1N1型、2016~2017年はA香港型と交互に流行してきました。押谷教授は、「前季流行した型は、多くの人が一定の免疫を得ているとされる。このため翌シーズンは別の型がはやり、同時流行は起きにくいと考えられてきた」と説明します。
 その形が昨季の2017~2018年は崩れ、A型2種類とB型1種類がほぼ均等に表れました。「詳しい原因は不明だが、昨季は典型的な流行パターンにならず、A型が2種類とも大きく広がらなかった。結果的に免疫を持つ人が少なくなり、今季の同時流行を招いたのではないか」と推測しています。
 警戒すべき点は、「1シーズン2回感染」にとどまりません。現在、高齢者を中心に重症化しやすいA香港型が、それまで主流で6歳以下の子供にインフルエンザ脳症を起こしやすいとされるA香港型を追い抜き、検出されるウイルスの主流になっているからです。
 今年に入り、兵庫県淡路市の養護老人ホーム「北淡(ほくだん)荘」で7人が死亡するなど、各地の高齢者施設で集団感染が相次ぎ、専門家の間では「A香港型が原因では」との見方が強くなっています。
 実際に国立感染症研究所の統計でも、昨秋から昨年末はH1N1型が主流でしたが、今年1月以降はA香港型の割合が高まり、H1N1型を逆転しています。
 同じA型でも、H1N1型のウイルスは過去にはやったAソ連型と性質が似ており、高齢者の多くが一定の免疫を持っている可能性があります。一方、A香港型はより変異しやすく、感染して得た免疫が翌年以降は十分に働かないことも多くなります。変異のしやすさからH1N1型に比べてワクチンの効果を上げにくいことも、再感染や重症化につながる一因になっています。
 インフルエンザ対策に詳しい「けいゆう病院」(横浜市西区)の菅谷憲夫医師は、「A香港型の怖さを理解し、家庭や高齢者施設で発症者が出たら周囲の人に抗ウイルス薬の予防投与を検討するなど、引き続き緊張感を持って対応してほしい」と警鐘を鳴らしています。

 2019年2月13日(水)

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