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■iPS細胞で脊髄損傷を治療 厚労省、慶応大の計画を了承 [健康ダイジェスト]

 交通事故や激しいスポーツなどで背骨の中の神経が傷付いて手や足を動かせなくなった脊髄損傷の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作成した神経のもとになる細胞を移植して機能を回復させる慶応大の臨床研究の計画が、厚生労働省の部会で了承されました
 iPS細胞を脊髄損傷の患者に応用するのは世界で初めてで、研究チームは早ければ今年中に患者への投与を始め、安全性と効果を確認したいとしています。
 厚労省の部会で18日了承されたのは、慶応大の岡野栄之教授と中村雅也教授らの研究チームが計画している臨床研究です。
 この臨床研究は、脊髄を損傷してから2週間から4週間の「亜急性期」と言われる段階の患者4人の患部に、人のiPS細胞から作製した神経のもとになる細胞約200万個を移植し、細胞を神経に変化させて機能の回復を目指すもので、1年かけて安全性と効果を確認します。
 国内では、毎年新たに5000人ほどが脊髄を損傷し、患者数は10万人以上とされ、長く、有効な治療法がありませんでしたが、昨年、患者から「間葉系幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞を取り出し、培養して血液中に戻す別の治療が承認されており、iPS細胞を使った脊髄損傷の臨床研究は今回のものが初めてです。
 臨床研究が厚労省の部会で了承されたことを受けて、慶応大の研究チームが会見を開き、実施責任者の岡野栄之教授は、「およそ20年にわたって脊髄損傷の治療を目指して研究を進めてきたが、ようやくスタートの位置に立つことができたという思いだ。臨床研究の一番の目的はまずは安全性を確認することなので、気を引き締めてこれから実施に向けた準備を進めていきたい」と述べました。
 さらに、「今回の臨床研究で安全性と効果が確認できれば、より患者が多くいる慢性期の脊髄損傷の治療を実現するための研究も進めていきたい」と述べ、今後の展望も語りました。
 また、同じ研究チームで手術を担当する中村雅也教授は、「実際に移植する細胞で、腫瘍ができるような兆候がないか事前に確認するため、順調に進めば患者を選定するのは今年の秋から冬になる見込みだ」と話していました。
 iPS細胞を使う再生医療は、臨床応用を目指す計画が相次いでいます。移植第1号は、理化学研究所などが2014年に目の難病患者を対象に実施しました。2018年には、パーキンソン病患者の脳に神経細胞を移植する京都大の治験で患者に移植しました。さらに、重症の心不全を対象にした大阪大の臨床研究や、京都大の血小板を輸血する臨床研究が厚労省に認められました。

 2019年2月18日(月)

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